何故あなたは太るのか?

村磯鼎

第1章|セントラルドグマ:なぜ、私たちは糖質を断つのか?

  • 飢餓に最適化された人間の身体
  • 糖質過剰時代の“代謝的混乱”
  • 2つのドグマ
    • 「人は飢餓に最適化されている」
    • 「糖質をとるな」

第2章|糖質制限、最初の7日間レシピ

  • 糖質制限前に知っておいてほしい3つの事実
  • 安心の置き換えリスト
  • よくある誤解とその整理

📘 コラム

  • コラム0:あなたの身体には、糖質がない?
  • コラム1:糖質ゼロ食品の嘘と罠
  • コラム2:朝ごはんを抜くと太るは本当か?

第3章|あなたの体は、なぜその形なのか?

  • 代謝パターンの分類(5タイプ)
    1. 燃やす体質型
    2. ためこむ体質型
    3. 冷え性・低代謝型
    4. 血糖スパイク型
    5. 遅効型(中年以降)
  • 各タイプへのおすすめアプローチ
  • セルフチェックリストつき

📘 コラム

  • コラム6:カロリーは燃えるが、燃える“順番”がある

第4章|理論編:代謝の科学と「なぜ糖質が要らないか」の根拠

  • 4-1 糖質がないと死ぬ?という“神話”をほどく
  • 4-2 脂肪はなぜ燃えるのか、どこに行くのか
  • 4-3 インスリンと糖新生の真実

📘 コラム

  • コラム5:タンパク質の“過剰摂取で太る”は誤解です
  • コラム10:「脳は糖がないと働かない」は本当か?
  • コラム8:「脂肪はどこへ行くのか?」

第5章|人類の進化と“飢えに最適化された体”

  • 5-1 空腹とともに進化した人間
  • 5-2 農耕社会と現代のギャップ
  • 5-3 飽食社会における生き方の再設計

📘 コラム

  • コラム9:止まった身体、燃えない代謝(マラソンの話)

第6章|食文化と問い直し(仮)

  • 米文化と糖質信仰
  • “健康神話”としての常識とその再検討
  • 「食べること=幸福」の構図の再考

第7章|実践編:続けるための知識と工夫

  • 空腹時にどう乗り越えるか
  • タンパク質と脂質の目安
  • レストラン・外食時の工夫
  • 継続するためのライフスタイル戦略

🔍 補足・資料パート(別立ても可能)

  • 栄養素の基本(炭水化物=糖質+食物繊維、タンパク質、脂質の定義)
  • 栄養成分表示の読み方
  • カロリーの扱いと勘違い
  • 参考文献と統計注釈

📖 まえがき|代謝マップの、その先へ

私の母は、スキルス胃がんで亡くなりました。
55歳でした。
診断からわずか1ヶ月、何もできないまま彼女は逝きました。

それが、私がアメリカでがんの研究を始めた原点でした。
当時、私は米国国立研究所で分子生物学を学び、「がんを治したい」という強い思いを持っていました。
がんの仕組みを解明すれば、人はもっと長く、もっと幸せに生きられると信じていました。

でも、研究というものは思ったよりもずっと遠回りで、
成果が出ても、それが誰かの命に直結することはほとんどありません。
それでも研究は続けました。
副産物の一つとして、糖尿病に対する遺伝子治療の可能性も見えてきました。
あるとき、ベンチャー企業からその研究をもとにした新しい治療法開発の話を持ちかけられました。
「一緒にやらないか」と誘われました。

でも、私は断りました。
当時の治療法には、どうしても引っかかる点があったからです。
たとえ技術的に正しくても、「本当にそれで人が救われるのか?」という直感が拭えなかったのです。

そんなある日、研究所の机の上で、私はもう一度代謝マップを見つめていました。
自分がこの細胞のネットワークに何を託そうとしていたのか、もう一度問いたくなったのです。
そして、ふと気づいたのです。

「人間は、そもそも“間違った生き方”を選んでしまっているのではないか?」

それは、がんの話だけではなく、糖尿病、肥満、うつ、生活習慣病すべてに通じる問いでした。
生物としての人間の代謝と、現代社会の生活スタイルとのあいだに、深くて危ういギャップがある。

そう思ったとき、私は静かに決めました。
**「がんを治すには?」「人生を謳歌するには?」という問いから出発するならば、研究室を出るしかない」**と。

この本は、専門的な研究の報告書ではありません。
でも、分子生物学を研究してきた私なりの視点で、
「食べることとは何か?」「代謝とはどう生きるか?」という問いを、やさしく、でも深く考えるための本です。

この本が、あなたの中の小さな問いの火種になればと願っています。

⚠️ 本書を手に取ったすべての方へ重要なお願い
本書は成人(おおむね20歳以上)を対象にしています。
成長期にある10代の子どもたちには、糖質制限は慎重な配慮が必要です。
脳・身体・ホルモンの発達において糖質は不可欠な役割を担っており、大人と同じ方法で制限すると、健康を損なう恐れがあります。
特に以下の方は、医師や栄養士などの専門家の指導のもとでご判断ください:
・10代の未成年
・妊娠中・授乳中の方
・糖尿病や摂食障害の既往がある方

本書の目的は「糖質が過剰に供給されている現代における、大人のための食と代謝の再設計」です。
子どもたちにはまた別の“成長の食事設計”が必要であることをご理解ください。

📖 プロローグ|イカゲームと100歳のあんパン

「でもね、うちのおばあちゃんは毎日あんパン食べてたけど、100歳まで生きましたよ?」

糖質制限の話をすると、必ず誰かがそう言います。
あなたも、どこかで似たような話を聞いたことがあるかもしれません。
あるいは、自分の中にこうした感覚があるかもしれません。

「たしかに太るとは聞くけど、でも好きなものを食べて長生きした人もいるじゃないか」と。

はい、います。
確かに、います。

でも、私はそういう話を聞くたびに──なぜか**韓国ドラマ『イカゲーム』**のことを思い出すのです。
(正直に言うと、私はちゃんと観ていません。予告編とあらすじだけですが…笑)

イカゲームは、命をかけた極限のゲームに参加させられた人々が、
最後のひとりになるまで“脱落”していくという物語です。
たったひとりが勝ち残る。
でも、その裏には、名前も顔も知られないまま消えていった多くの人がいる。

この構造、どこかで見たことはありませんか?

そう、“好きなものを食べて長生きした人”というストーリーは、イカゲームの勝者のようなものなんです。

メディアに出てくるのは、その人だけ。
家族の記憶に残るのも、その人だけ。
でも、同じような食生活で、静かに病気を発症し、長い時間をかけて代謝を蝕まれていった人たちは、誰にも語られない。

私たちは、そういう**「例外的な勝者の物語」**に自分を重ねたくなってしまう生き物なのかもしれません。
けれど、私がこの本で向き合いたいのは、その人ではありません。

「真面目に食べてきたはずなのに、なぜか体調が悪い」
「栄養バランスに気をつけているのに、体脂肪が減らない」
「食べることに罪悪感を持ちたくない。でも、食べ方がわからない」

そう思っている“多数派”のあなたに、私は語りかけたいのです。

本書は、例外的な長寿者の“奇跡”ではなく、ふつうの人の“代謝のしくみ”を見つめ直すことから始まります。
そのしくみは、かつて私が研究室で見ていた代謝マップ
のなかにすでに描かれていました。
でも、それは単なる生化学ではありません。

それは、

「どう生きるか」という、身体の中で行われている静かな問いのかたちだったのです。

この先のページでは、その問いにもう一度向き合い、
あなたの代謝を、あなた自身のものに取り戻す旅をご一緒したいと思います。

第1章|セントラルドグマ:なぜ、私たちは糖質を断つのか?

私たちは、糖質を断たなければならない。
それは、単なるダイエットでも、流行の食事法でもない。
これは、人間として「代謝を取り戻す」ための、最小にして最大の選択である。

なぜなら──
人は、飢餓に最適化されている。
それが、私たちの身体に刻まれた進化的設計図だからだ。

何万年も、人は飢えの中で生きてきた。
脂肪を燃やし、空腹を受け止め、少ない食事で活力を得るように設計されてきた。

ところが今、私たちは──

  • 1日3食+おやつという「常時エネルギー供給」の中に生きている
  • 糖を絶えず摂取することで、「切り替え不能な代謝」に陥っている
  • 食を“選べる自由”のはずが、かえって“選びきれない”生活構造に苦しんでいる

その結果が、
疲労、肥満、慢性疾患、そして“代謝の静けさ”を失った身体である。

だから私は、こう言いたい。
糖質をとるな。
それは命令ではない。脅しでもない。
それは、あなたが「選ばなくてよい代謝」を取り戻すための合図である。

糖質を断つことは、
「代謝を切り替える」ことではなく、
「選ばなくてすむ生き方」を思い出すことなのだ。

この本は、この2つのセントラルドグマをもとに書かれている。

  • 人は飢餓に最適化されている。(信じるためのドグマ)
  • 糖質をとるな。(行動するためのドグマ)

私たちが今ここで問うべきは、
「なにを食べるか」ではなく、
**「どう選ばずに済むか」**である。

第2章|まず知っておいてほしい3つの事実

── 糖質制限を始める前に、「太る本当の理由」を理解するために

糖質を減らせば痩せる。
そう聞いたとき、きっとこう思ったのではないでしょうか?

「脂肪をたくさん食べて大丈夫なの?」
「脳は糖がないと働かないって言うよね?」
「カロリーより、結局どれだけ食べたかが問題じゃないの?」

あなたのその疑問、とても大切です。
そして、それらはどれも──一部だけが真実です。

正しい行動は、正しい理解からしか始まりません。
そして“行動を続けるためには”、その理解がシンプルで、選ばなくて済むように整理されていることが必要です。

この章では、糖質制限の前提となる代謝の基本を、3つの視点から確認します。
「なぜ太るのか?」という問いに答えるための“代謝の地図”として、まずはここから始めましょう。

事実1:人が太るのは、脂肪を食べたからではない

脂肪を食べると太る。
そう思っていた頃が、私にもありました。
でも研究を通してわかったのは、人が太る本当の原因は、脂肪そのものではないという事実です。

太る仕組みの鍵を握っているのは──インスリンというホルモンです。

糖質(ごはん、パン、麺、砂糖)を食べると血糖値が上がり、
その血糖を処理するためにインスリンが分泌されます。
このインスリンが脂肪細胞に「ためろ」という命令を出すのです。

✅ 食べた脂肪がそのまま体脂肪になるわけではありません。
糖質がなければ、脂肪は“燃料”として使われる側になるのです。

事実2:糖質を断てば、インスリンはほとんど出ない

糖質がなければ、インスリンの分泌は極端に少なくなります。
すると、脂肪細胞への“貯蔵命令”は止まり、
今度は「脂肪を使おう」と体が動き始めます。

つまり──
糖質がない状態では、太りようがないのです。

ただし、ここで注意すべきことがあります。
脂肪を「食べればすぐ燃える」わけではなく、体が「脂肪を燃やす状態」にある必要があります。

この“脂肪を燃やす状態”に入るには:

  • 糖質を断ち、インスリンを静め
  • 脂質を恐れず、十分に摂り
  • 電解質(塩・マグネシウム・カリウム)を整え
  • そして“判断を減らした環境”で継続すること

この条件が整って初めて、脂肪はため込まれる側から、燃料として使われる側に変わるのです。

食べすぎた脂肪も、燃料として回されるだけ。
✅ 「食べた分=脂肪になる」という図式は、糖質があるときだけ成立する誤解です。

糖質がなければ、脂肪は“燃やされる栄養素”です。
そしてそれを可能にするのが、「インスリンが静かになっている時間」なのです。

事実3:糖質を断つと、体は“脂肪を燃やす設計”に切り替わる

糖質が枯渇すると、体は“次の燃料”を求めて動き出します。
それが「脂肪」──そして、脂肪から作られるケトン体です。

ケトン体は、肝臓で合成され、脳を含む全身のエネルギー源として利用されます。
特に糖質を断って3〜5日目以降になると、体は本格的にケトン体を使い始め、
「代謝が切り替わった」と実感する変化が起きやすくなります。

たとえば──

✅ 「頭が冴える」
✅ 「だるさが抜ける」
✅ 「お腹が空かなくなった」

と感じるのは、まさにこの“脂肪燃焼モード”が起動したサインです。

ただし、それを体験するには糖質の摂取を20g以下に保ち続けることが必要です。
この“代謝の切り替え”が起こるには、一定の継続と構造の支援が必要です。

そしていったんその感覚を知ると──
✅「食べていないときの静けさ」が、どれほど快適な状態かに気づくことができます。

脂肪は、燃えます。
ただし、それは「燃やす設計」に切り替わったときだけ。

糖質を断つことは、
「脂肪を使うための身体に戻す」ための、もっとも自然なスイッチなのです。

🧭 ここまでの3つの事実をまとめて振り返ると:

  1. 人が太るのは、脂肪ではなく糖質とインスリンのせい
  2. 糖質がなければ、インスリンは出ず、太らない
  3. 糖質を断つと、体は脂肪を燃やす代謝に切り替わる

この3つを理解することで、「糖質制限は危ないのでは?」という疑問や不安は自然と消えていきます。
そして、“太る理由”が見えれば、“変われる道”もまた、明確になるのです。

さあ、次は実際の食事の話をしましょう。

📖 第2章 実践レシピ編

── お腹が空いたとき、何を食べたらいいですか?

🔍 補足:この本の内容は「大人向け」です

成長期(10代)の方がこの章を読む場合、自分で判断せず、必ず信頼できる大人や医療者と一緒に読んでください。成長期は「痩せること」より「育つこと」が優先されるべき時期です。

はじめに

「お腹が空いてどうしようもなくて、おにぎりを食べてしまいました」

そんな声、よく届きます。

でも大丈夫。まずは、その気持ちを責めないことから始めましょう。

糖質制限を始めたばかりのときは、何を食べていいのかわからず、

「とにかく何かお腹に入れなきゃ」と思ってしまいますよね。

でも本当に必要なのは、**我慢ではなく、“選び方のコツ”**です。

この章では、あなたの不安に寄り添いながら、「これなら食べていい」と思える道をいっしょに見つけていきます。

2−1 ✅ まず知っておいてほしい3つのルール

糖質は1日20g以下を目安に

 → 白ごはん・パン・パスタ・フルーツ・甘い飲み物は、まずは一度お休み。

 → 野菜でも、じゃがいも・かぼちゃ・にんじんは控えめに。

お腹が空いたら、食べていい

 → 空腹は「脂肪が燃えているサイン」。でもつらければ、チーズ・ゆで卵・ナッツ・温かいスープなどで“優しくしのぐ”のがコツ。

食べたものに罪悪感を持たない

 → 間違えたって大丈夫。大事なのは「戻れる道」が見えていること。

2−2 🍽 ある1日、こんなふうに食べてみて

ゆで卵2個

無糖ヨーグルト+塩

ブラックコーヒー or 緑茶

甘くない朝。最初はちょっと物足りないかも。でも「お腹が空かない」が午後まで続きます。

鶏むね肉のソテー(塩+オリーブオイル)

豆腐+小ネギ+醤油少々

ワカメと卵のスープ

コンビニで代用なら:サラダチキン+ゆで卵+カップ味噌汁

サバの塩焼き

ほうれん草のバター炒め

しらたきの醤油炒め

お腹いっぱい食べていいんです。脂質とタンパク質は、あなたを太らせません。

🍙 どうしてもごはんが恋しいときは?

「おにぎりが食べたい」「パンがほしい」──その気持ち、わかります。

でも、こんな“置き換え”があることを知っておくだけで、ずいぶん楽になります。

食べたくなるもの 代わりにおすすめ 理由

おにぎり ゆで卵+冷奴+塩 糖質ゼロ、でも満足感あり

パン チーズ焼き or 油揚げサンド パリッと焼けば“食べた感”あり

麺類 しらたき、糖質ゼロ麺 見た目の安心感が助けになる

甘いもの 無糖ココア+豆乳+ラカント ほんのり甘い“心の逃げ場”

🧭 最後に

糖質制限は、「正しい知識」と「やさしい実践」の両方がそろって初めて続けられるものです。

この章は、**あなたが「今すぐ何を食べればいいか」**に答えるためにあります。

食べながら、変わっていい。

迷ったときは、またこのページに戻ってきてください。

2-2 📘 実用付録|糖質制限の“置き換え食材”20選

「迷わない」ための置き換え食材20選──判断を減らす、静かな食事法

🍙 ごはんの代わりに

  • カリフラワーライス(冷凍常備で判断不要)
  • 木綿豆腐ステーキ(塩+醤油で香ばしく)
  • 納豆+卵+チーズ(白ごはんなしでも十分満足)
  • おからパウダー蒸し(甘くせず、塩味系で)

🍞 パンの代わりに

  • 油揚げサンド(常温保存可能+焼くだけ)
  • チーズトースト(チーズを焼くだけ)
  • 卵+マヨのサンド風(ラップ巻きにすれば外出もOK)
  • 市販ふすまパン(使う場合は朝だけに限定)

🍜 麺の代わりに

  • 糖質ゼロ麺(紀文など)
  • しらたき(湯通しで臭みカット)
  • ズッキーニ麺(スライサーで簡単)
  • 豆腐干糸(市販・冷凍が便利)

🍫 甘いものが欲しいときに

  • ココア+豆乳+ラカント
  • 無糖ヨーグルト+塩(慣れると“抜け感”の快感)
  • クリームチーズ+ラカント(少量)
  • ナッツ+バター(間食の王道)

🏪 コンビニ3種の神器

  • サラダチキン+ゆで卵+ブロッコリーパック
  • おでん(卵・こんにゃく・牛すじ)
  • チーズ+ナッツ+ブラックコーヒー

🧭 まとめ

「選ぶ」のではなく、「決めておく」
「迷わない」ためのセットを作ることで、糖質制限は生活になる

📘 セクション2:食材の基本知識とありがちな誤解(修正案)

修正ポイント

  • “糖質さえ見ていればいい”という誤解に対して、「判断の整理」と「選び方の理由」を明確化。

🥗 修正タイトル案:

「食べていいもの」を覚えるより、「なぜ選ぶのか」を理解しよう

炭水化物=糖質+食物繊維

  • ごはん・パン・いも類・かぼちゃ=すべて炭水化物
  • 糖質は血糖値を上げ、インスリンを出させる
  • 食物繊維は血糖値を上げず腸内環境を整える

「野菜なら安心」ではなく、「根菜と葉野菜を区別する視点」を持つ

タンパク質は“肉だけ”ではない

  • 鶏むね100g=約22g、卵1個=約6g、豆腐1/2丁=約10g
  • 肉が苦手でも「組み合わせ(例:豆腐+卵+納豆)」で十分補える

脂質は「太る」ではなく「燃える」栄養

  • オリーブオイル・バター・ナッツ・青魚など
  • 糖質がなければ、脂質は燃えるだけで蓄積されにくい

ありがちな誤解と正解

誤解実は
野菜は全部OKにんじん・れんこん・かぼちゃは糖質多め
フルーツは体にいい果糖はインスリンを出さないが“脂肪合成スイッチ”を押す
糖質ゼロ飲料なら安全甘味料で“欲”が刺激され、空腹がぶり返すことも
プロテインバーなら安心糖質10g超の製品も多く、ラベル要確認

「これはダメ」ではなく、「なぜこれは避けるべきか」を理解すると、判断がぶれなくなる

第2章コラム

コラム0:あなたの身体には、糖質がない?

コラム1:糖質ゼロ食品の嘘と罠

コラム2:朝ごはんを抜くと太るは本当か?

💡 コラム0:あなたの身体には、糖質がない?

── 脂肪と筋肉でできた身体から、見えてくる真実

「糖質は大事」「糖質がないと生きられない」──
そう思っている人は多いかもしれません。

でも、こう考えてみてください。

あなたの身体は、何でできているでしょうか?

身体の主要構成成分は「水・脂肪・タンパク質」

  • 身体の約60%は水分
  • 残りの大部分は、**筋肉(タンパク質)と脂肪(体脂肪)**です
  • 糖質(ブドウ糖やグリコーゲン)は、全体の1%未満にすぎません

✅ 身体を“構成する”材料として、糖質はほとんど使われていないのです

それでも糖質を求めてしまうのはなぜか?

それは現代の食環境が、糖質に過剰に最適化されているからです。

  • 朝はトーストやシリアル、昼は丼やパスタ
  • 小腹がすけばお菓子やフルーツ
  • “糖質中心の食事”が、当たり前になっている

この「糖質に支配された構造」に気づいたとき、初めて選び直す準備が整います。
糖質を減らすとは、ただ“やめる”のではなく、
「本来の構成に合った体に戻す」ことなのです。

📘 コラム1:糖質ゼロ食品の嘘と罠(修正案)

💡 コラム1:糖質ゼロ食品の嘘と罠

「糖質ゼロ」と書いてあると、なんだか安心してしまいますよね。

でも、食品表示には思わぬ落とし穴があります。

「ゼロ」の定義は、ゼロではない

  • 日本では「100g中に糖質0.5g未満」なら「ゼロ」と表示してよい
  • 飲料なら「100ml中0.5g未満」がゼロ扱い

つまり──
“ゼロ”でも、実際には含まれていることがあるのです。

人工甘味料のワナ

  • 多くの「糖質ゼロ飲料」には、**人工甘味料(アスパルテーム・スクラロースなど)**が使われています
  • カロリーや糖質はなくても、“甘さ”は感じる
  • これが「もっと甘いものが欲しい」という欲求スイッチを押してしまう

糖質制限中に大事なのは、「量」より「構造」

✅ 本当にゼロかではなく、「なぜ欲しているのか」に気づくこと
✅ “甘いゼロ”は、身体より先に心を脱線させることがある

📘 コラム2:朝ごはんを抜くと太るは本当か?(修正案)

💡 コラム2:朝ごはんを抜くと太るは本当か?

これは、いまだに多くの人が信じている“栄養神話”です。

でも、真実はこうです。

✅ 「朝ごはんを食べないと太る」のではなく、
✅ 「朝ごはんを抜いたあとに、ドカ食いすると太る」のです。

空腹は“脂肪燃焼タイム”

朝起きたとき、あなたの体は“飢餓モード”に入っています。
これは、脂肪が最も効率よく燃える時間です。

  • このとき糖質を入れると、インスリンが分泌されて脂肪燃焼が止まる
  • 逆に、何も食べなければ脂肪はそのまま燃やされ続ける

「抜くかどうか」より「抜いたあと何を食べるか」

  • 朝ごはんを抜いて、昼に糖質たっぷりの丼やパンを食べる
    → これは血糖値スパイクを起こし、太る原因に
  • 朝を抜いて、昼にタンパク質と脂質中心の食事をとる
    → インスリンが抑えられ、代謝は安定する

空腹を「怖い時間」ではなく、「静かに脂肪が燃える時間」と捉える
それだけで、朝の意味がまったく変わってきます

第3章|あなたの体は、なぜその形なのか?

── 意志ではなく、代謝の“型”で考える

3章|あなたの体は、なぜその形なのか?──太り方には「型」がある。代謝を取り戻す第一歩

人はみな、同じように太るわけではありません。
同じものを食べているのに、ある人はすぐ太り、ある人はなかなか変わらない。

✅ それは「代謝の型」が違うからです。

この章では、自分の体質を見極めるために、
代表的な5つの代謝タイプと、その傾向・対策を紹介します。

🧬あなたはどのタイプ?「5つの代謝型」早見表

タイプ名特徴傾向
① 燃やす体質型食べても太りにくい/寒がりではない糖質制限の効果が出やすい
② ためこむ体質型食後すぐ眠くなる/夕方に浮腫みやすいインスリン抵抗性が高め/継続がカギ
③ 冷え性・低代謝型常に手足が冷たい/朝が苦手まずは「温める」環境と脂質強化から
④ 血糖スパイク型急に元気→すぐ疲れる/甘いものを無性に欲する食後の急変が多く、ケト導入で安定しやすい
⑤ 遅効型(中年以降)昔は痩せ型/最近増え始めた時間をかけて燃やす“構造的見直し”が必要

このタイプ分類の目的は?

✅ 自分を責めないため
✅ 方法を間違えないため
✅ 続けやすい構造を作るため

「あなたが怠けていたから太った」のではありません。
「あなたの代謝に合っていない方法を選んでいたから」かもしれないのです。

このあと、1つずつの型に対して「見分け方」「対策」「続け方のコツ」を具体的に紹介していきます。

🧬 あなたの体を理解する5つの「代謝パターン」

①燃やす体質型(修正案)

🟠燃やす体質タイプ

── エネルギーはある、でも安定感が足りないことも

このタイプは、一見「理想的」と見られがちです。
食べてもすぐ燃える、太りにくい、空腹に強い──
けれど、それは**“安定して燃える”というより、“燃費が悪い”**とも言えます。

特徴

  • 食べてもすぐエネルギーとして消費される
  • 活動的で代謝が高く、体温もやや高め
  • 筋肉質で、空腹を感じにくい
  • 食後の満腹感が長続きしない
  • 朝の方が調子がよく、夕方に疲れやすいことも

向いている食事と生活

ポイント解説
🧈 良質な脂質を積極的にとる代謝の高さゆえに“脂質切れ”になりやすい。朝にMCTオイル・バター・卵をしっかりと
🥚 タンパク質を「朝・昼」に重点配置夜より朝〜昼に代謝が高まる。空腹を感じにくくても定時で補うのが鍵
😴 睡眠と休息を優先する疲れに鈍感なため、休むタイミングを逃しがち。体の声に意識を向けて
🧠 空腹時間をあえて短めにする断食との相性はやや悪い。朝食を抜くより“脂質中心で軽く入れる”ほうが安定

よくあるつまずき

  • 「自分は太らないから何を食べても大丈夫」と思い、逆に栄養バランスが崩れがち
  • 空腹を放置しがちで、ある日突然ガクッと体調を崩す
  • 糖質を減らすことで「冴える感覚」が一時的に強まるが、継続には脂質補給が必要

💬一言アドバイス

燃えやすい人ほど、燃料切れに気づきにくい
ケト食よりも、脂質強化+安定化のローカーボが長続きの鍵。

この体質は「痩せ体質」として羨ましがられることもありますが、
その分、安定して燃やすための支援が必要な型でもあります。

②ためこむ体質型(修正版)

🟡ためこむ体質タイプ

── 「ちょっとの糖」で結果が出てしまう体

このタイプは、インスリン感受性が高すぎるため、
ほんの少しの糖質でも血糖値が急上昇し、それに伴って脂肪を“効率的に”ため込んでしまいます。

✅ 「食べる量は少ないのに太る」
✅ 「間食してないのに減らない」

そう感じている方は、このタイプの可能性が高いです。

特徴

  • 甘いものや炭水化物で強い眠気がくる
  • 朝より夜に体重が増えやすい
  • 血縁に糖尿病・高血圧・中性脂肪高値の人がいる
  • 間食をしていないのに痩せない
  • むくみやすく、体脂肪率が高め

向いている食事と生活

ポイント解説
🍳 糖質を“徹底的に”避ける「少しくらい」はNG。ごく少量でもインスリンが出てしまう体質
🧈 脂質を主燃料に切り替えるオリーブオイル・MCTオイル・卵・アボカドなどで“代謝の別ルート”を確保
⏱ 空腹時間を味方につけるインスリンが出ていない時間こそが、脂肪燃焼の時間。朝〜昼の軽め断食と相性良し
🛏 睡眠の質を優先する睡眠不足はインスリン抵抗性を悪化させる。起床後の光浴び+入浴ルーティンを意識

よくあるつまずき

  • 糖質を「少しだけ」食べてしまい、リセットされる
  • 「脂質が怖い」と思い込んで、満腹感が得られない
  • 「糖質を抜いても変化がない」と焦ってやめてしまう

💬一言アドバイス

太りやすさ=意志の弱さではありません。
「効きすぎる体」を理解して、構造で防ぐのがカギ。

成功の鍵は「徹底」ではなく「仕組み」

このタイプが成功するには、「強い意志」ではなく、
**“迷わず選べる仕組み”**を用意しておくことが最も効果的です。

③冷え性・低代謝型(修正版)

🔵冷え性・低代謝型

── 「食べていないのに痩せない」体には、理由がある

このタイプの最大の特徴は、**「代謝のスイッチが入りにくいこと」**です。
食事量が少なくても太るのは、「入れていない」のではなく、「燃やしていない」から。

✅ 「いつも寒い」
✅ 「疲れやすい」
✅ 「たくさん食べていないのに痩せない」

これらはすべて、“低温で動きづらい代謝”のサインです。

特徴

  • 手足が冷たく、朝の活動開始に時間がかかる
  • 少食でも体重が落ちにくい
  • 眠気・だるさが抜けず、日中もぼんやりしがち
  • 外気や食べ物の影響を受けやすく、体調が変わりやすい
  • 貧血気味・低血圧・甲状腺機能低下の既往があることも

向いている食事と生活

ポイント解説
🍲 まず「温める」ことから始める生野菜より温野菜、冷たい飲み物は避ける。味噌汁・出汁・スープが基本
🫖 食事回数は「減らさず整える」空腹時間を長くとりすぎると逆に冷えてしまう。1日2〜3食を安定して
🥩 良質なタンパク質と脂質で火力を上げる卵、鶏もも肉、青魚、チーズ、ナッツ。糖質より“燃える素材”を重視
🚶‍♀️ 運動より“日常的に動く”こと軽い散歩や階段、肩甲骨を動かすストレッチなど「体温が上がる動き」が有効

よくあるつまずき

  • 「カロリーを減らせば痩せる」と信じてしまい、食事量を減らしすぎる
  • 冷えた状態のまま断食を試み、逆に体調を崩す
  • 自分の“疲れやすさ”を性格や加齢のせいにしてしまう

💬一言アドバイス

「燃えない」のは、意志や努力の問題ではありません。
体が“火をつける燃料と環境”を求めているだけです。

🔥代謝を動かすキーワードは「出汁・温度・脂質」

この体質は、極端な断食や急激な糖質制限より、
**“じっくり育てる代謝”**を意識することで改善が始まります。

④血糖スパイク型(修正版)

🟣血糖スパイク型

── 「太ってないのに、不調が多い」タイプの真実

見た目はスリム。けれど、食後に眠気が来る。気分が乱れる。イライラする。
このタイプの問題は、脂肪ではなく血糖コントロールにあるのです。

✅ 「甘いものを食べると元気が出るが、すぐ沈む」
✅ 「夕方にどっと疲れて、集中力が切れる」

これは、血糖値の乱高下=“血糖スパイク”の典型的なサインです。

特徴

  • 食後に強い眠気・だるさ・気分の落ち込みがある
  • お腹が空くと機嫌が悪くなる(いわゆる“ハンガリー”状態)
  • 見た目は痩せていても、肝臓・膵臓に負担があることも
  • 健康診断では異常が出にくいが、疲れやすく、朝が弱い
  • 精神的なアップダウンが激しく、自律神経の乱れも感じやすい

向いている食事と生活

ポイント解説
🍳 糖質を断つと“安定”が始まるこのタイプは糖質依存になりやすい。主食を抜くと数日で気分が整う例も多い
🧈 ケトン体で“落ち着き”が生まれる脳がケトンを使い始めると、気分の波が穏やかに。脂質補給が鍵
⏰ 間食を「なくす」のではなく「設計する」空腹時にイライラしないために、チーズ・ナッツ・ゆで卵など“静かな補給”を用意
🧘‍♀️ 食事だけでなく“神経のリズム”も整える深呼吸・瞑想・ストレッチなど、自律神経の再学習も有効

よくあるつまずき

  • 「血糖値は正常です」と医師に言われて安心してしまう
  • 空腹を我慢してドカ食い→余計に血糖乱高下
  • ケト導入の前に“甘い飲み物”を残してしまう(ジュース、加糖コーヒーなど)

💬一言アドバイス

太っていないから安心ではありません。
「内臓と神経の安定」が、あなたの次のステージです。

🧭血糖スパイク型が変わるカギは「リズムと燃料の設計」

体は“燃えている”ように見えても、それは一時的な興奮。
本当に必要なのは、「静かに燃え続ける状態」の再設計なのです

⑤遅効型(中年以降に太り始めるタイプ)

🟤遅効型タイプ

── 気づけば、体型も代謝も変わっていた

このタイプは、若いころは痩せていたのに、
40代以降から急に体重が増えたり、体型が変わってきた方に多く見られます。

✅ 「昔は何を食べても太らなかったのに…」
✅ 「ストレスや生活リズムの崩れで一気にきた」
✅ 「代謝が落ちてきたのを実感している」

これは、代謝の遅れが表に出てくるタイミングです。
決して“怠けたから”でも、“加齢だから仕方ない”わけでもありません。

特徴

  • 中年以降(40〜50代)から体重が増え始めた
  • 運動習慣がなくなってから変化が加速
  • 夜食やアルコールが習慣になりやすい
  • 昼間は我慢できても、夜にどか食いする傾向
  • ストレス下で食欲が暴走しやすい

向いている食事と生活

ポイント解説
🍚 昼は楽しんでも、夜に“抜ける設計”を「朝→昼」までをしっかり、夜はタンパク質と脂質中心に。炭水化物は朝限定にするのも有効
🚶‍♂️ 無理な運動より“続く動き”をウォーキング・ストレッチ・階段移動など、習慣化できる「小さな活動」の方が代謝を上げやすい
🍷 飲酒と夜食を“減らすタイミング”を固定「平日だけ抜く」「19時以降は水だけ」など、ルールをつくるとストレスが減る
⏰ 代謝の“再起動”には時間がかかると心得る効果は“遅れてやってくる”ことを前提に、2〜3ヶ月単位で継続するのがコツ

よくあるつまずき

  • 最初の1〜2週間で効果が出ず、あきらめてしまう
  • 「昔と同じ食事」なのに太る理由が理解できず自己否定する
  • お酒をやめられず「結局何も変わらない」と落ち込む

💬一言アドバイス

あなたの代謝は“壊れている”のではありません。
ただ、“燃える構造”を忘れていただけなのです。

🧭成功のコツは「夜を変える」「時間で見る」「責めない」

代謝が変わるには時間がかかります。
でも一度切り替われば、このタイプは一番長く、安定して改善が続くとも言われています

3章まとめ|あなたの身体は、責める対象ではなく、理解すべきパートナー

「太ってしまった」「痩せなくなった」
──そのすべてに、“身体なりの理由”があります。

第3章では、5つの代謝タイプを紹介しました。
あなた自身がどのタイプに近いのか、少し見えてきたでしょうか?

✅ 自分を責めるのではなく、理解すること
✅ 方法を変えるのではなく、「合う型」を選ぶこと

これが、継続できる糖質制限の第一歩です。

🔥再確認ポイント

  • 体質は「努力不足」ではなく、「代謝構造の違い」
  • 自分に合った“火のつけ方”を知れば、体は自然に動き出す
  • 代謝を変えるには「時間」がかかる。でも、確実に変わる

あなたの代謝は、すでに変わり始めている。
今はまだ静かでも、その炎は確実に広がっています。

行動チェックリスト|問いながら続けるための小さな習慣

以下の項目にYes/Noで答えてみてください。
3つ以上チェックがつけば「問いながら続けている」サイン。
5つ以上ついたら、もうあなたは“自分で選べる食べ手”です。

チェック項目Yes / No
朝食を抜いても不安にならなくなった☐ / ☐
空腹を「脂肪が燃えてる時間だ」と思える☐ / ☐
コンビニで「主食を避ける」選択ができた☐ / ☐
ご飯・パンの代わりに、豆腐・卵などを選べた☐ / ☐
糖質が多そうな食品の「成分表示」を見る習慣がある☐ / ☐
食後の眠気が減ってきた☐ / ☐
「今日は崩れたけど、明日また整えよう」と思えた☐ / ☐

“代謝の型”は変えられる。「知ること」が第一歩

体型は、「今の自分の代謝が何をしているか」の結果にすぎません。
そして代謝は、スイッチを入れ直すことができます。

  • 食事を変える
  • 空腹の時間をつくる
  • 睡眠やストレス環境を整える

自分の型を知り、「どう変わりたいか」を意識するだけで、あなたの身体は応えてくれます。

📝 セルフチェックリスト|あなたはどの型?

以下の問いに「YES」が多いタイプが、あなたに近い代謝パターンです。

🟠 燃やす体質タイプ

  • よく動く/活動的だと言われる
  • 冷えを感じにくい
  • 空腹を感じにくく、食べなくても平気
  • 食べてもすぐお腹が空く

🟡 ためこむ体質タイプ

  • 甘いものを食べるとすぐ眠くなる
  • 朝より夜のほうが太りやすい
  • 食べる量は多くないのに体重が落ちない
  • 血縁者に糖尿病の人がいる

🔵 冷え性・低代謝タイプ

  • いつも手足が冷たい
  • 朝が弱く、活動開始に時間がかかる
  • 少し食べただけで満腹感が強い
  • 疲れやすく、回復に時間がかかる

🟣 血糖スパイク型

  • 食後に強い眠気・イライラを感じる
  • 空腹時に「キレる」ことがある
  • 痩せているのに健康診断で肝機能に指摘がある
  • 気分の波が激しい

🟤 遅効型タイプ

  • 40代以降、急に太りやすくなった
  • 運動をやめてから体型が変わった
  • ストレスで過食しやすい
  • 酒量や夜食の習慣がある

第3章コラム

コラム6:カロリーは燃えるが、燃える“順番”がある

📘 コラム6:カロリーは燃えるが、燃える“順番”がある

> 「カロリーを消費すれば痩せる」は、半分だけ本当。

人の身体は、摂取した栄養を一定の順番で使っていく。

1. 糖質 → 2. アルコール → 3. タンパク質 → 4. 脂質(最後)

この“燃料の優先順位”がある限り、糖質があるうちは脂肪は燃えない。

> だからこそ、糖質を断たない限り「脂肪燃焼」は始まらない。

カロリーより先に、“何が燃えているか”に注目しよう。

たとえば、おにぎりを食べてすぐに運動した場合、体はまずその糖質を使い切ろうとします。一方、何も食べずに朝の散歩をしたとき、体は脂肪を燃やしてエネルギーを得ようとします。この違いを意識するだけで、自分が今どの燃料を使っているかが見えてきます。

📘4章|理論編:代謝の科学と「なぜ糖質が要らないか」の根拠(修正版)

🎯この章で得られること:

✅ 糖質がなくても体が動く理由が、科学的にわかる
✅ ケトーシスや脂肪燃焼の仕組みを、やさしく理解できる
✅ 迷いや不安が「理屈」で消えていく感覚を得られる

🧭導入文(修正版)

ここまでの章で、自分の体質や代謝パターンが少しずつ見えてきたはずです。
では次に知りたくなるのは──

「なぜ、糖質を減らすだけで体が変わるのか?」

という問い。

この章では、糖質・脂肪・ケトン体・インスリンといった言葉の本質を、できるだけわかりやすく解き明かしていきます。

「代謝の仕組みがわかれば、選ぶ食事が変わる」

それを一緒に体験していきましょう。

4-1|糖質がないと死ぬ?という神話をほどく

── 必要なのは「糖質」ではなく、「ブドウ糖」

💬よくある誤解

  • 「糖は大事でしょ?」
  • 「脳はブドウ糖でしか動かないんだよ?」
  • 「糖質をとらないと死ぬって聞いたよ?」

これらは一見もっともらしいですが、糖質ブドウ糖を混同している誤解です。

事実:糖質は食べなくても大丈夫

たしかに脳は、1日あたり約100〜120gのブドウ糖を必要としています。
でも、その“ブドウ糖”は、糖質から摂る必要はないのです。

私たちの体には、「糖新生」という素晴らしい仕組みがあります。
これは、タンパク質や脂肪から、必要なブドウ糖を自前で作る機能です。

💡糖新生とは?

  • 筋肉のアミノ酸
  • 脂肪のグリセロール部分
  • 一部の乳酸やピルビン酸など

これらを使って、肝臓が必要なぶんだけブドウ糖をつくるのです。
しかもこれは、進化の過程で獲得された「生存のための回路」です。

だから糖質は必須栄養素ではない

  • 必須アミノ酸:ある
  • 必須脂肪酸:ある
  • 必須糖質:ない

💬一言で言うと

糖は必要。でも、糖質を食べる必要はない。

この理解があれば、「糖質を抜いたら脳が止まる」といった誤解から自由になれます。
次は、「脂肪はどこへ行くのか?」という、もう一つの大きな誤解に進みましょう。

4-2 脂肪はなぜ燃えるのか、どこに行くのか

── それは、命をつなぐ“戦略的資産”だった

💬よくある誤解

  • 「脂肪を燃やす」と言っても、どこに行くの?
  • 汗?トイレ?熱?
  • 「脂肪は敵」だから減らさないといけない?

それはどれも、脂肪という存在の本質を知らない時の反応です。

脂肪は余ったエネルギーではなく、生存戦略の装置

脂肪は、単に「食べすぎの結果」ではありません。
人類が飢餓を生き延びてきた歴史のなかで、もっとも優れたエネルギー貯蔵手段として進化したものです。

  • 1gの脂肪=9kcal(糖質・タンパク質は4kcal)
  • 長期間保存可能で、酸化もしにくい
  • 必要なとき、いつでも燃料として使える

それは、バッテリーであり、予備タンクであり、命綱なのです。

脂肪が燃えるとは、どういうことか?

脂肪が燃えるとは──

  1. 脂肪細胞から脂肪酸が放出され
  2. 肝臓で分解・代謝され
  3. ケトン体またはエネルギーとして、脳や筋肉に供給される

つまり、脂肪は「静かに燃えて、命を支える」ために使われているのです。

🫁では、燃えた脂肪はどこへ行く?

驚くべき答え:ほとんどが「呼気(CO)」として出ていく

  • 体脂肪1kgのうち、約84%は息とともに吐き出される
  • 残りの16%は、水分として汗・尿などで排出される

つまり──

「痩せる」とは、息を吐くことそのものなんです。

だから「脂肪は敵」ではなく、「まだ使われていない味方」

問題なのは、脂肪があることではありません。
問題なのは、脂肪が燃えない状態のまま、糖質を入れ続けていることです。

  • 糖質を食べると、インスリンが出る
  • インスリンが出ている間は、脂肪が燃えない
  • つまり、糖質の摂取が脂肪燃焼のスイッチをOFFにする

💬一言アドバイス

脂肪はあなたの「備え」であり、「希望」です。
食べすぎではなく、「使わなすぎ」が問題なのです。

4-3 ケトン体は脳のサブ燃料ではない

── 実は、脂肪こそが本来の思考エネルギーだった?

💬よくある誤解

  • 「脳はブドウ糖でしか動かない」
  • 「糖質を抜いたら、脳が止まる」
  • 「糖は唯一のエネルギー源」

こうした言葉は、糖質制限に不安をもたらす最大の“神話”です。
しかしこれは、半分だけ本当で、半分は誤解なのです。

ケトン体──脂肪から生まれるもう一つの燃料

糖質を断ち、インスリンの分泌が下がると、
肝臓は体脂肪を分解し、ケトン体というエネルギー分子を作り出します。
これは脳にとって、ブドウ糖と並ぶ主要燃料になりうるものです。

かつては“非常用”とされてきたケトン体ですが、
実は人類の進化において“主燃料”だった可能性すらあります。

ケトン体 vs. ブドウ糖(比較)

特徴ケトン体ブドウ糖
燃焼効率高い中程度
血糖変動なし(安定)大(波が激しい)
供給源体脂肪から生成食事から摂取
精神集中・認知機能高まる傾向血糖変動で乱れやすい

ケトン体が脳を守るという研究もある

  • 抗酸化作用(酸化ストレスの抑制)
  • 抗炎症作用(慢性炎症の抑制)
  • 認知症リスクの軽減の可能性も

💬一言アドバイス

脳に必要なのは「糖質」ではなく、「安定したエネルギー」です。
そしてそれは、“脂肪から生まれる”のです。

「ぼーっとする」は、切り替え中のサイン

糖質を抜いた2〜3日間、「集中できない」「頭がぼんやりする」と感じるのは、
ケトン体への切り替え期間によく起きる現象です。

そこを超えると、多くの人がこう語ります:
「なんだか、頭が静かで冴えている」

🧭まとめ:「冴える脳」は、脂肪から生まれている

ケトン体は、脳の燃料としてだけでなく、心の安定・集中力の維持にも寄与します。
糖質を減らし、脂肪を燃やして、ケトン体をつくる。
それは、“軽く強い身体”と“静かに冴える脳”の両方を手に入れる道です。

4-4 糖新生が筋肉を削る、は本当か?

── タンパク質を守る身体の知恵を信じていい理由

💬よくある不安

  • 「糖質をとらないと、筋肉が分解されてしまうらしい」
  • 「タンパク質から糖を作る=筋肉が削られるってこと?」
  • 「代謝が落ちて、逆に太りやすくなるのでは?」

これは糖質制限を始めるときに、誰もが一度は耳にする懸念です。
でも、それは**“極端なケース”の話を、日常にあてはめた誤解**です。

筋肉は、そんなに簡単に削られない

人間の体は、非常にうまくできています。
ブドウ糖が足りないとき、体は“糖新生”というプロセスで糖を補いますが、
それはまず──

  1. 肝臓に残っているグリコーゲンを使い
  2. グリセロール(脂肪の一部)を使い
  3. アミノ酸(筋肉)からの供給は、最後の手段

つまり、「糖新生=即筋肉ロス」ではないのです。

正しく食べていれば、筋肉は守られる

糖質を断っても、筋肉が守られる条件は以下のとおりです:

条件内容
🥩 タンパク質をしっかり摂る目安は体重×1.2〜1.6g/日(例:60kg → 72〜96g)
🧈 脂質から十分なカロリーを確保エネルギーが足りないと筋肉が燃え始めるため
🏋️‍♀️ 適度な運動や筋トレ使われている筋肉は“分解対象”にならない(=使えば守られる)

むしろ、糖質を摂っていても筋肉は落ちることがある

  • 総カロリー不足
  • タンパク質不足
  • 長時間の空腹+運動不足

これらの要素が揃えば、糖質を摂っていても筋肉は落ちていきます。

💬一言アドバイス

「糖を摂らない=筋肉が減る」は極端な話。
大切なのは、“燃料と素材”を、正しく入れることです。

4章まとめ|糖質制限とは、代謝の設計を取り戻すこと

糖質を抜いても人は生きられる──
脂肪は、呼吸によって出ていく──
ケトン体は、“第二”ではなく“もう一つの主燃料”──

この章で紹介した一つひとつの理屈は、
単なる知識ではなく「自分の体と対話するための言語」です。

糖質制限を「やる」「やらない」というよりも、
「どう生きるか」「どう燃やすか」を問い直すことが、この章の本質です。

飢餓に備える代謝 vs. 満腹に溺れる代謝

私たちは、もともと**「飢えに最適化された体」**を持っていました。

  • 糖新生で糖を作る
  • ケトン体で脳を動かす
  • 脂肪を静かに燃やして生き延びる

それを忘れ、「常に満たされ、常に疲れている」現代の代謝構造が、問題なのです。

問わない代謝から、選ぶ代謝

「糖質を減らしてみる」という行為は、
代謝の仕組みを問うことであり、生き方の軸を選び直すことでもあります。

💬コラム的補足:タンパク質・脂肪・呼吸の再定義

  • タンパク質は、糖質がなければ脂肪に変換されにくい
  • 脂肪の8割以上は、呼吸によってCO₂として排出される
  • 脳はケトン体を燃料にできる。糖は唯一のエネルギーではない

🔚結語:あなたの代謝が、あなたの生き方を映している

代謝とは、
あなたが何を信じ、何を選び、何に備えているかの総体です。

糖質制限とは、ただの栄養管理ではありません。

それは、身体の再設計を通じて、人生の再設計に手を伸ばすことなのです。

第4章 理論編:代謝の科学と「なぜ糖質が要らないか」の根拠

自分の代謝パターンが見えてきた今、次に知りたいのは「なぜ糖質を減らすだけで体が変わるのか?」という仕組みそのもの。
第3章では、糖質・脂肪・ケトン体・インスリンといったキーワードを、できるかぎりやさしく、でも本質から解き明かしていきます。
「代謝がわかれば、食事の選び方が変わる」。その実感を一緒に深めていきましょう。

4-1|糖質がないと死ぬ?という“神話”をほどく

── 必要なのは「糖質」ではなく「ブドウ糖」

「糖質を抜いたら、脳が止まる」── 本当にそうでしょうか?

糖質制限を始めると言うと、たいてい最初に返ってくるのはこんな言葉です。

「でも、糖は大事でしょ?」
「脳はブドウ糖でしか動かないんだよ」
「糖質をとらないと死ぬって聞いたよ?」

たしかに、脳は通常、1日で100〜120gのブドウ糖を使う臓器です。
でも、ここでよく考えてほしいのは──

「ブドウ糖が必要」=「糖質を食べなければならない」
ではない、ということです。

糖質を“食べなくても”、ブドウ糖は体内でつくられる

私たちの体には、「糖新生」というシステムがあります。
これは、タンパク質(アミノ酸)や脂肪の一部から、必要に応じてブドウ糖をつくる仕組みです。

このしくみは、生き延びるために進化の中で獲得されたものであり、
糖質を摂らなくても血糖値を一定に保てる、極めて重要な機能です。

つまり──糖質は“必須栄養素”ではないのです。
必須アミノ酸や必須脂肪酸はありますが、必須糖質は存在しません。

赤血球や脳の一部はブドウ糖しか使えない? → はい、でも問題なし

よく引き合いに出されるのが、
「赤血球や脳の特定部位はブドウ糖しか使えないから、糖質が必要だ」という説。

たしかに、赤血球はミトコンドリアを持たないため、ブドウ糖しか使えません。
脳も一部の部位はケトン体を使いにくいことが知られています。

でも、その必要量は1日40〜50g程度で、
これは糖新生だけで十分まかなえる量です。

食べた糖質は「余る」ことが多い

現代の食生活では、1日で200g以上の糖質を簡単に摂取しています。
(茶碗1杯のごはんで約55g、食パン1枚で約25g、果物・調味料を含めればあっという間です)

その結果、本来必要なブドウ糖の3倍以上を摂ってしまい、余った糖は脂肪として蓄積される

つまり、「糖質を摂らないと死ぬ」のではなく、
**「糖質を摂りすぎることで、静かに壊れていく」**のです。

🧭 まとめ:必要なのは、糖質ではなく“代謝の理解”

  • 脳が使うブドウ糖は、体がちゃんと自前でつくってくれる
  • 糖新生は、極限下で人類が生き延びてきた生命維持の機能
  • 「糖質=生きるエネルギー」という神話から、自分を解放してみましょう

次の節では、この代謝のリズムを支えるもうひとつの主役──脂肪とケトン体について見ていきましょう。

4-2|脂肪はただの“貯金”ではない

── 「余ったエネルギー」ではなく、「生き延びるためのしくみ」

「脂肪は悪者」── それ、本当に正しいですか?

ダイエットを始めたとき、私たちはよくこう思います。

「脂肪を減らさなきゃ」
「脂肪は見た目にも健康にもよくない」
「脂肪がある=失敗している証拠」

でも、ちょっと待ってください。
脂肪は本当に、そんな「いらないもの」「悪いもの」なのでしょうか?

脂肪は、命を守るためにある

脂肪は、人類が長い飢餓と生存の歴史のなかで身につけた、極めて優れた備蓄システムです。

  • 1gの脂肪で、9kcalのエネルギーを生み出せる(糖質・タンパク質は4kcal)
  • 酸素と水があれば、体脂肪は燃えてエネルギーになる
  • 特別な加工も不要で、静かに、安全に、ずっと蓄えておける

これは、天然のバッテリーのようなものです。
そしてそれは、**いざという時に生き延びるための“戦略的資産”**なのです。

体脂肪1kgがくれるエネルギー

脂肪1kgに含まれるエネルギー量は、約7,000kcal。
これはざっくり言えば、

  • フルマラソン約3回分
  • 断食で2〜3日生き延びるのに十分な燃料
  • たった1kgで、3日間頭を働かせ、体を動かせるだけの力

あなたの身体に、脂肪が5kgついているとすれば、
それだけで15〜20日分のサバイバル燃料が備蓄されていることになります。

「脂肪が燃える」ということの意味

糖質を食べるのをやめ、インスリンの分泌が止まったとき、
体は「脂肪を使おう」と動き始めます。

  • 脂肪細胞から脂肪酸が放出され
  • 肝臓でケトン体がつくられ
  • それが脳や筋肉、心臓のエネルギーになる

これが脂肪燃焼モードの正体です。
体脂肪が、あなたの“いま”を支えてくれるのです。

だから、「脂肪をためすぎる」のではなく、「燃やせる体に戻す」

現代人が問題なのは、「脂肪を持っていること」ではありません。
問題なのは、それを**“使えない体”になってしまっていること**です。

  • 糖質が常に優先的に燃えている
  • インスリンが高止まりして脂肪が使われない
  • 常に“満タン”の状態で、新しい燃料ばかり注いでいる

あなたの脂肪は、ずっと“使ってくれるのを待っている”。

🧭 まとめ:脂肪は敵ではない。まだ活躍していない味方

脂肪は、あなたの体が何万年も前から準備してきた、究極のエネルギー貯金です。
糖質が枯渇したとき、それが“はじめて使えるようになる”。

脂肪は、敵ではありません。
あなたの体の中で、ずっとチャンスを待っていた、優秀な味方なのです。

4-3|ケトン体は脳の“サブ燃料”ではない

── 実は、脂肪こそが本来の思考エネルギーだった?

「脳はブドウ糖でしか動かない」って本当?

多くの人が、糖質制限に不安を抱く最大の理由はこれです。

「脳のエネルギーはブドウ糖なんだから、糖を摂らなきゃダメでしょ?」

一見もっともらしく聞こえますが、これは半分だけ本当で、半分は誤解です。
たしかに脳はブドウ糖を必要としますが、それは「糖質を食べるべき理由」にはなりません。

実は、脳にはもう一つのエネルギー源があるのです。

ケトン体、それは“脂肪から生まれる燃料”

糖質を食べず、インスリンの分泌が下がると、
肝臓は体脂肪から脂肪酸を取り出し、それを材料に「ケトン体」を作り出します。

ケトン体は、ブドウ糖の代わりに脳で使われる、非常に効率の良いエネルギー分子です。
しかも、糖がないときだけに使われる“非常用”というより、
本来の進化的に備わった主要なエネルギー源なのです。

ケトン体の特徴(vs. ブドウ糖)

特徴ケトン体ブドウ糖
燃焼効率高い中程度
血糖を乱さない乱さない上がる→下がるの波が大きい
供給源体脂肪から自動生成食事から摂る必要がある
精神集中・認知機能高まると報告されている血糖変動で集中が切れやすい

多くの人が、糖質制限3日目くらいから「頭がスッキリしてきた」と感じ始めます。
これは、ケトン体が脳の主要燃料になってきたサインです。

ケトン体は“予備”ではなく、“本線”かもしれない

人類の歴史を振り返れば、1日3食・糖質たっぷりの食事があるような時代はごく最近の話です。
それ以前のほとんどの期間、私たちは空腹状態を生きていました。

  • 狩りに出るときは空腹
  • 食料が手に入るまで何時間も歩き続ける
  • 飢餓に備えて体脂肪を貯めておく

そうした環境で生き残るために、脂肪→ケトン体→脳活動という経路は不可欠だったのです。

ケトン体は「仕方なく使う代替燃料」ではなく、
**“最初から備えられていた、頭を動かす仕組み”**なのです。

ケトン体が脳を守るという研究も

近年では、ケトン体が脳にとって単なる燃料以上の働きを持っていることが示されはじめています。

  • 抗酸化作用(酸化ストレスの抑制)
  • 抗炎症作用(脳の慢性炎症の抑制)
  • 認知機能の維持(アルツハイマー予防の可能性)

これらはまだ研究段階ですが、少なくとも「ケトン体は危険」という話ではない、というのは明らかです。

🧭 まとめ:「冴える脳」は、脂肪から生まれている

ケトン体は、“燃料”としてだけでなく、
あなたの集中力、判断力、感情の安定性まで支える存在です。

糖質を減らし、脂肪を燃やし、ケトン体をつくる。
それは「冴えた頭」と「軽い身体」の両方を手に入れる道でもあります。

糖質を抜いてぼーっとするのは、一時的。
その先にあるのは、「こんなに脳って静かだったんだ」と気づく感覚です。

4-4|糖新生が筋肉を削る、は本当か?

── タンパク質を守る身体の知恵を信じていい理由

「糖質をとらないと筋肉が減る」は本当?

糖質制限を始めようとすると、こんな声が返ってくることがあります。

「糖質をとらないと、筋肉を削って糖をつくるから危険だよ」
「筋肉が落ちたら代謝が下がって、逆に太りやすくなるよ」

この不安はもっともです。
実際、人間の体には「糖新生」というしくみがあり、ブドウ糖が足りなくなると、アミノ酸(=タンパク質)から糖をつくることがあります。

でも、だからといってすぐに筋肉が削られてしまうわけではありません。

そもそも「筋肉を削って糖をつくる」とはどういうことか?

糖新生とは、肝臓や腎臓が非糖質の材料(アミノ酸・乳酸・グリセロールなど)からブドウ糖を合成する代謝経路です。

アミノ酸の供給源として、筋肉のタンパク質が使われることもありますが、
それは極端に糖質もタンパク質も不足しているときに限られます。

つまり、「糖質をとらない」だけでは、すぐに筋肉が分解されるわけではありません。

正しく食べていれば、筋肉はちゃんと守られる

糖質を抜いても、以下の条件が整っていれば筋肉は維持されます:

  • タンパク質をしっかり摂っている(体重×1.2〜1.6g/日が目安)
  • 脂質から十分なエネルギーを補っている
  • 軽い運動や筋トレで「使う刺激」がある

逆に、糖質を摂っていても総摂取カロリーが不足していれば筋肉は落ちます。
つまり、「糖質があるかどうか」ではなく、「総合的な栄養バランスと代謝の方向性」が大事なのです。

体は「大事なものを守る順番」を知っている

飢餓状態に陥ったとき、人間の体はどう動くか知っていますか?

  1. まず肝臓に貯めたグリコーゲンを使い切る
  2. 次に脂肪を使ってケトン体をつくる
  3. どうしても足りないときに、筋肉からアミノ酸を供給する

この順番は、生存にとって極めて合理的です。
筋肉は“最後の最後まで”守られる資源なのです。

だからこそ、脂肪を燃やす仕組み(ケトン体)をうまく使えば、筋肉に頼らずに生き延びられる。

よくある落とし穴:「高タンパク低脂質」は筋肉を削る

ダイエットでよく見かけるのが「鶏むね肉だけ」「脂質はカット」というやり方です。
この食事では、エネルギー源が足りなくなってしまうため、
結果的に筋肉を分解して糖をつくる(糖新生)の割合が高くなってしまいます。

筋肉を守りたいなら、脂質を“削らない”ことがとても重要です。

🧭 まとめ:筋肉を守る鍵は、「糖」ではなく「設計」

糖質がなくても、筋肉は減りません。
むしろ、「脂質を燃やせる体」こそが、筋肉を温存しやすい代謝モードです。

  • 十分なタンパク質
  • エネルギーとしての脂質
  • そして使われる筋肉

この3つが揃っていれば、糖質は不要です。
「筋肉が落ちるから心配」という不安は、正しい理解と実践で確実に解消できます。

4-5|空腹は悪ではない

── お腹が鳴るとき、あなたの体は“回復”を始めている

「お腹が空いたらすぐ食べるべき」は本当?

小さなころから、私たちはこんな風に教えられてきました。

「空腹になる前に、ちゃんと食べなさい」
「朝ごはんを抜くと太るよ」
「お腹が空くのは体に悪い」

でも本当にそうでしょうか?
空腹になるたびに何かを口にし、1日中インスリンを出し続けているほうが、
むしろ身体を疲れさせていないでしょうか?

空腹は“脂肪燃焼モード”へのスイッチ

糖質をとらず、血糖が下がり、インスリンの分泌が静まってくると、
体は「外からの燃料がないなら、中の脂肪を使おう」と判断します。

そのとき──

  • 脂肪が分解され、脂肪酸に
  • 肝臓でケトン体に変換
  • 脳や筋肉でエネルギーとして使われる

これが「空腹時の代謝スイッチ」の正体です。

空腹とは、脂肪が燃えている合図
それは“痩せる”だけでなく、“体を整える時間”でもあるのです。

オートファジー:細胞が掃除を始める時間

2016年、ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典博士の研究でも知られる「オートファジー(自食作用)」。

これは、空腹時に古くなった細胞の部品を分解・再利用する体内のメンテナンス機能です。

  • 不要なタンパク質を分解
  • 細胞の“掃除”と“再生”が始まる
  • 炎症や老化を抑える働きもある

食べない時間が長いほど、この機能は高まる。
空腹時間は、あなたの体を内側から“整えるチャンス”なのです。

「低血糖=危険」ではなく、「慣れていないだけ」

糖質中心の食生活をしていると、数時間食べないだけで

  • イライラする
  • 集中力が落ちる
  • 頭がぼーっとする

といった“低血糖症状”を経験します。

でもこれは、本当に「危険な空腹」なのでしょうか?

いいえ、これはむしろ、“糖依存”から抜け出すための一時的な通過点です。
体がケトン体の利用に慣れてくると、そうした不快感は自然に消えていきます。

「空腹と仲良くなる」ための工夫

空腹を受け入れるのは、最初はつらいかもしれません。
でも、いくつかの工夫でうまく乗り切れます。

  • 無糖の炭酸水や温かいお茶をゆっくり飲む
  • ナッツやチーズ、スープなど「糖質ゼロの安心感」で支える
  • 空腹時間を“自分の時間”として使ってみる(散歩・読書・深呼吸)

「お腹が空いたら、痩せてる時間なんだな」
そう思えたら、空腹は“敵”ではなく、“味方”に変わります。

🧭 まとめ:空腹はあなたの身体が目を覚ましている証拠

空腹になることは、不調ではなく回復です。
それは、あなたの体が本来の働きを取り戻しているサイン。

満たすことばかりに意識が向いていた私たちにとって、
“空っぽであること”は、実はもっとも創造的な時間なのかもしれません。

お腹が鳴ったら、チャンスだと思ってください。
脂肪が燃え、細胞が再生し、あなた自身が「軽さ」を取り戻す時間です。

4-6|代謝は“生き方”である

── 食べ方は、生き方の選択そのもの

何を食べるかは、何を信じて生きるかとつながっている

「代謝」という言葉を聞いたとき、多くの人はエネルギー効率やダイエットの話を思い浮かべます。
でも私は思うのです。

代謝とは、あなたの“生き方”そのものではないか、と。

何を食べ、何を摂らず、どのようにエネルギーを生み出しているか。
それは、自分がどんな環境で、どんな時代を生きていると感じているかの現れです。

現代人は、「飢えない前提」で代謝を組んでいる

コンビニは24時間開いています。
数時間ごとに血糖を上下させ、眠気と戦いながら働きます。

  • 朝はパンとコーヒー、昼は丼かパスタ、夜はラーメンとビール
  • 常に何かを「満たす」ことが求められ、「空腹」は不安の象徴
  • その結果、代謝は“貯めること”に最適化され、太りやすくなっている

この代謝の在り方は、私たちの生き方の在り方と密接に結びついているのです。

飢餓に備える代謝と、満腹に溺れる代謝

人間は本来、**「飢えを乗り越えるためのシステム」**を持っていました。

  • 脂肪を貯める
  • 糖新生で糖を作る
  • ケトン体で脳を動かす

でも、いまの私たちはこの機能を封印したまま生きている

一生懸命働きながらも、常に眠く、重く、だるい。
それは、代謝が“間違った前提”で組まれているからです。

“問わない代謝”から、“選ぶ代謝”へ

「糖質をやめてみる」という選択は、
単なるダイエットではありません。

それは、自分の体がどう動くのかを“問い直す行為”です。
そしてそれは同時に、「自分はどう生きたいのか」を見つめ直す問い
でもあるのです。

  • 満たすために食べ続けるのか
  • 目覚めるために、いったん断つのか

これは、あなたがどんな未来を生きたいかという「選び方」にかかっています。

🧭 まとめ:あなたの代謝が、あなたの生き方を映している

代謝は、あなたが何を信じ、何に備え、何を選んでいるかの結果です。

糖質制限は、ただの栄養管理ではありません。
それは**“身体の再設計”を通じて、“人生の設計”にも手を伸ばすこと**。

「自分の代謝を取り戻すこと」
それは、「自分の人生のリズムを、自分の手に取り戻すこと」です。

この章が、あなたにその勇気をそっと手渡せていたら──
それ以上の願いはありません。

第4章コラム
コラム5:タンパク質の“過剰摂取で太る”は誤解です
コラム10:「脳は糖がないと働かない」は本当か?

コラム8:「脂肪は、どこへ行くのか?」

📘 コラム5:タンパク質の“過剰摂取で太る”は誤解です

> 「肉を食べすぎると太る」……これは糖質とセットで食べた場合の話。

糖質がなければ、タンパク質は脂肪になりにくい。

肝臓は過剰なアミノ酸を糖新生に回すが、それも必要量だけで、残りは尿素として排出される。

> 脂肪に変換される前に“燃やされるか、捨てられる”。

だから糖質制限中のタンパク質摂取は、心配せずしっかり摂ってよい。目安としては、体重1kgあたり1.2〜1.6gのタンパク質が推奨される。たとえば体重60kgの人なら、1日あたり70〜100g程度が目安。これは、鶏むね肉なら300g前後、卵なら10個弱、豆腐なら2丁程度に相当する。

📘 コラム10:「脳は糖がないと働かない」は本当か?

──ケトン体と“第二の燃料”という誤解を超えて

🧠 「脳は糖がないと働かない」という言葉に、あなたも不安になったことがありませんか?

たしかに、脳は“通常時”に1日あたり約100〜120gのブドウ糖を使う臓器です。

だから糖質制限を始めたばかりのとき、「頭がぼーっとする」という感覚を抱く人もいます。

でも、これは“糖がないから脳が止まる”のではありません。

“切り替えの最中”に起きている一時的な現象なのです。

🔬 科学的には、こう整理されます:

✅ 脳は糖質を摂らなくても、ブドウ糖を自分で作れる

肝臓はアミノ酸(タンパク質)や脂肪の一部から糖新生によってブドウ糖を合成します。

つまり「糖質を食べなくても、体内で脳に必要な分の糖は作られる」。

✅ さらに、数日で脳は「ケトン体」を使い始める

脂肪が分解されると「ケトン体」という代替燃料が生まれます。

脳はこのケトン体を効率的に利用できるようになり、

最終的には脳のエネルギーの60〜70%をケトン体が担うことがわかっています。

💡 だから、こう言い換えるのが正しい

脳が必要なのは糖質ではなく、“エネルギーとしてのブドウ糖”。

そしてそれは、糖質を摂らなくてもちゃんと確保されている。

🍳 あなたが感じた「ぼーっと感」は、切り替えの証

糖質を断って2〜3日。

このときに起きるだるさや集中力の低下は、「脳がケトン体回路に切り替えている真っ最中」だから。

ここを越えると、多くの人がこう言います。

「なんだか頭が冴えてきた」

「昼食後に眠くならない」

「朝起きた瞬間から元気になった」

📘 まとめ:脳の燃料は、選べる

脳が働かなくなることはありません

糖がなくても、身体がつくり、脂肪が支える

むしろ“脂肪を燃やせる脳”は、長く冴える脳になる📘 コラム8:「脂肪は、どこへ行くのか?」

──呼吸で痩せるという驚きの科学

🫁 「脂肪を燃やす」とはどういうことか?

私たちはよく、「脂肪を燃やして痩せる」と言います。

でも、燃やした脂肪はいったいどこへ行くのでしょうか?

「汗?トイレ?熱になって消える?」

ほとんどの人は答えられません。

🔬 答えはこうです。

脂肪の約84%は、最終的に「呼気の二酸化炭素」として肺から出ていきます。

残りの約16%は、水になって尿や汗として排出されます。

たとえば体脂肪1kgを分解して消費すると──

約0.84kg分は **CO₂(呼気)**として吐き出され

約0.16kg分は **H₂O(水)**として体液に混ざって出ていく

つまり、「痩せる」とは、息を吐いていることそのものなんです。

🧠 だから糖質を減らすと「代謝の出口」が変わる

糖質を断つと、体は脂肪を燃料として使い始めます。

そして、脂肪は最終的に「呼吸で消える燃料」へと変わる。

つまり、食べていないときの呼吸こそが、脂肪を出している時間なのです。

あなたが今、静かに呼吸しているその一息が、

昨日まで腰についていた脂肪だった──かもしれない。

第5章|人類の進化と“飢えに最適化された体”

5-1|人類の進化は空腹とともにあった

── 現代の食生活は、進化の文脈に沿っていない

私たちの身体は、石器時代で設計が止まっている

  • 人類が農耕を始めたのは約1万年前
  • 加工食品と24時間アクセスが当たり前になったのは、ここ数十年
  • しかしそれ以前の200万年以上の時間
    私たちは「飢え」と「狩り」を前提に身体をつくってきた

現代の身体は、「飢えへの適応」であり、決して「満腹への適応」ではない。

食事は「毎日3回」ではなかった

  • 食事のタイミング=獲物が獲れたとき
  • 栄養=動物の肉、骨髄、魚、木の実、根菜
  • 糖質は自然界にほとんど存在せず、果物ですら季節限定

糖質は「たまにしか手に入らないもの」であり、
身体が自らの糖を“作れる”ように進化したのは当然だった。

脂肪を蓄え、ケトンで脳を動かす──それが標準仕様

  • 空腹のまま狩りに出かけるために、脂肪エネルギーが必要
  • 血糖が減ると、脂肪を分解しケトン体を作る
  • ケトン体は、脳の代謝を安定させ、集中力を高める

空腹時に頭が冴えるのは、進化の記憶。
飢えの中で「賢くなる」よう、人類は進化してきたのです。

現代人は飢えなさすぎて、代謝のスイッチが壊れている

  • 常に糖質が供給されている(朝・昼・夜+間食)
  • インスリンが慢性的に出っぱなし
  • 脂肪が燃えず、**“蓄積される一方”**になっている

💬一言アドバイス

私たちは、飢えに最適化されて生き残ってきた。
いまの飽食環境に適応する必要はない
むしろ、昔ながらの仕組みを“再起動”することこそが健康への近道です。

5章|5-2 農耕革命がもたらした主食中心という構造

── なぜ「ごはんを食べないと元気が出ない」体になったのか?

人類はなぜ糖質中心の生活に転じたのか?

約1万年前──人類は農耕を始め、
穀物を育て、保存し、分け与えることで安定的な社会を築きました。
そしてそこから、「毎日3食・主食中心で食べ続ける」という構造が始まったのです。

穀物は支配しやすいエネルギーだった

穀物には文明化を可能にする特徴がありました:

  • 🌾 大量栽培が可能
  • 🏺 長期保存できる
  • 🔧 加工しやすく、再分配しやすい
  • 💰 税や報酬として流通に適していた

つまり、穀物=国家単位で管理できるエネルギー源
糖質は、やがて“文明の象徴”となったのです。

「主食を食べないと力が出ない」は刷り込みだった

  • 学校給食では「ごはん+牛乳」が定番
  • パンや麺は“おかず”とセットで提供される
  • 食べないと「かわいそう」「不健康」と言われる

長年にわたり、糖質を中心とする代謝構造に教育されてきた結果、
私たちは「糖がないと動けない」体に“なった”のです。

「食べすぎても飢える」現代の代謝構造

  • 血糖値は急上昇するが、すぐに落ちてしまう
  • インスリン過剰で、余剰エネルギーはすべて脂肪へ
  • 脂肪が増えても、脳は“飢えている”と錯覚して糖を欲しがる

こうして「満腹なのにエネルギー不足」という矛盾した代謝が生まれたのです。

💬一言アドバイス

「主食を食べないと元気が出ない」──それは進化の事実ではなく、習慣の結果です。

🧭まとめ:「主食中心」は文明の都合、あなたの都合ではない

糖質をやめるとは、
「パンやごはんを我慢する」ことではありません。

それは──

  • 糖質依存の代謝構造から脱出する
  • 毎日3食の固定観念から自由になる
  • 自分で自分の“燃料”を選べる身体に戻ること

主食を手放すことは、文明に逆らうことではなく、身体に戻ることなのです。

📘5章|5-3 糖質依存社会と選べる未来

── あなたが口にするものは、誰が決めているのか?

私たちは糖質の海の中で生きている

コンビニやスーパーに入ってみてください。

  • おにぎり、パン、サンドイッチ
  • スイーツ、ドリンク、麺類
  • 補給バーやフレーク、栄養機能食品

棚のほとんどが、糖質を中心に設計された食品です。

「何を食べるか」ではなく、「どの糖質を選ぶか」に近い状況。
私たちは、気づかぬうちに“糖質を選ばされている”のです。

糖質依存は社会の設計そのもの

  • 安くて保存が利く=経済合理性が高い
  • 食後にドーパミンが出る=消費サイクルが成立
  • 栄養基準・教育・制度設計も“主食ありき”

糖質が多いから悪いのではなく──
糖質が前提になっている社会構造が問題なのです。

でも、私たちは選び直す力を持っている

  • 社会の仕組みに乗っていれば、確かに楽です
  • でもその結果、体調が崩れ、代謝が壊れていく
  • それでも、「選び直すこと」はできる

食べることは、受け身ではなく、選択なのです。

選べる未来のビジョン

  • 🍳 主食中心ではなく、脂質・タンパク質ベースの代謝
  • 🍱 1日3食ではなく、「身体の声」に合わせた摂取リズム
  • 🍽️ コンビニや外食でも「糖質なしで満足できる」選択肢がある世界

これは、“意識高い系”の人の特権ではありません。

あなたが“選び始めること”で、未来は変わっていくのです。

🧭まとめ:食べ方を変えることは、生き方を選ぶこと

糖質の多い社会で、糖質を手放すことは勇気がいります。
でもその勇気は、あなたの中にもう芽生えているはずです。

食べることは、文化であり、政治であり、哲学です。
あなたの“選ぶ力”が、代謝と社会の両方を変えるきっかけになるのです

第5章コラム

コラム9:止まった身体、燃えない代謝

📘 コラム9:止まった身体、燃えない代謝

──マラソンが教えてくれる生き方の限界

42.195kmという距離のなかに、人間の代謝のすべてが詰まっている。

それを私に教えてくれたのは、35kmを過ぎたあたりで、突然動けなくなったランナーたちの姿だった。

マラソンにおいて、前半を快調に走っていた選手が後半で急に崩れるのは、珍しいことではない。

これは筋肉や心肺の限界ではない。

「糖」が切れた結果、身体が動けなくなっているのだ。

人の身体は、まず「糖」を燃料として使う。

それがなくなると、次は「脂肪」を燃やすしかない。

でも、多くの人はこの切り替えがうまくできない。

なぜなら、ふだん脂肪を燃やす訓練をしていないから。

マラソン35km地点は、**代謝の設計が“問われる地点”**だ。

あなたは“燃やす力”を持っているか? それとも“貯める力”に頼りきっているか?

糖に頼る限り、35kmが限界だ。

それは競技の話ではない。

生き方の話でもある。

疲れたとき、追い詰められたとき、もうダメだと思ったとき。

そのとき、あなたの身体が「まだ動ける」と言ってくれるかどうか。

それは、ふだん何を燃やして生きているかで決まる。

脂肪を燃やせる身体とは、長く生きる力そのものだ。

📘6章|食文化と問い直す力

── 「いただきます」に込められた意味を、もう一度考える

🎯この章で得られること

✅ 食文化に内在する“糖質中心の常識”を見直す視点
✅ 感謝と疑問を両立させる「食べる力」の再定義
✅ 社会の視線と葛藤しながらも、自分の代謝を選び直す意志

6-1ありがたく食べるとは、何を受け入れてきたのか?

── 感謝の言葉の下で、私たちは問いを閉じていなかったか?

「食べられるだけありがたい」と教えられてきた

  • 「出されたものは残さず食べなさい」
  • 「いただきます・ごちそうさまを忘れないように」
  • 「贅沢を言ってはいけません」

こうした言葉は、日本の食文化の中で美徳とされてきました。
たしかにそれは、大切な価値観です。
でも同時に、それが**“食べることの選択肢”を奪っていた側面**はなかったでしょうか?

感謝の裏にある固定された常識

  • 「白いごはんはお米の国の誇り」
  • 「果物はヘルシー」
  • 「パンと牛乳で育ったから元気になった」

こうして、糖質中心の食生活は「ありがたいもの」とされ、
問い直されることなく正しさとして文化に組み込まれてきました

「文化に逆らう」ことの怖さ

糖質制限を始めるとき、
最初にぶつかるのは身体の不調よりも、まわりの視線です。

  • 「ごはん食べないの?変なダイエットしてるね」
  • 「せっかく作ったのに、食べないなんて失礼じゃない?」
  • 「昔の人は米を食べて元気に働いてたよ」

でも、それらは「代謝的な問い」には答えてくれません。
それは、文化の正解が代謝の正解とずれているからです。

💬一言アドバイス

感謝することと、問い直すことは両立できます。
「ありがたく食べる」とは、身体に合うかどうかを見極めることでもいいのです。

📘6章|6-2 “健康神話としての常識とその再検討

── 「糖は必要」と言い続けてきた人たちの“前提”を見直す

よくある3つの糖神話

  1. 高齢者には糖質が必要
  2. 受験生には甘いものが必要
  3. スポーツ前には糖分補給が必須

これらはすべて、代謝や血糖値のしくみを無視した一面的なアドバイスにすぎません。

🧓高齢者に糖質は危険ですらある?

高齢者は、筋肉量や代謝能力が低下しています。
そこに糖質を多く与えると──

  • 血糖値が乱高下しやすくなる
  • 脱力感、転倒、強い眠気などのリスクが高まる
  • 脳の炎症や酸化ストレスが増大することも

ケトン体を主エネルギーにできる体のほうが、むしろ安定するのです。

🧠受験生にチョコは本当に効くのか?

  • 短期的な集中力は上がるかもしれない
  • しかし血糖値が急上昇したあと、反動で眠くなる・イライラする
  • 結果的に、パフォーマンスが下がるケースも多い

「甘いもので集中」は“刺激”。
「安定した燃料供給」は“持続”。
勝負の鍵は後者にあります。

🏃スポーツに糖は必須だったのか?

たしかに、短距離走などの無酸素運動には糖が向いています。
でも長時間の持久力を要する場面では──

  • ケトン体エネルギーのほうが持久的で安定
  • 空腹状態で走ると、脂肪が効率的に燃える
  • 「糖が切れたら終わり」ではない身体設計を再発見できる

ケトアダプテーション(脂肪適応)が進んだ身体では、
脂肪を使って長時間動ける“第二のエンジン”が機能し始めるのです。

🧭まとめ:常識は問い直してこそ、進化する

糖質を“食べなければならない”状況は、実はほとんどありません。
むしろ以下のような人たちこそ──

  • 子ども
  • 高齢者
  • 受験生・学生
  • スポーツをする人たち

こそ、「糖質に頼らず、代謝を整える」アプローチが必要です

📘6章|6-3 “問い続ける人として食べる

── 食べるとは、流されずに生きるという選択

食べるとは、問いを止めることではない

私たちは日々、食べるという選択を繰り返しています。
それは単なる栄養補給ではなく、社会と自分をつなぐ行為でもあります。

  • どこで、誰が作ったのか
  • どんな意味を持つ食材なのか
  • それは自分の身体とどう関係するのか

「食べる」という行為のたびに、私たちは本当は問いを差し挟むことができる。
でも、それをしないままに流されていることが、現代の食の本質かもしれません。

食べることは、流されることと紙一重

情報はあふれ、選択肢は無限にあるように見えます。
でも実際には、選ばされていることの方が多い。

  • テレビCMで繰り返される「健康にいい」イメージ
  • 栄養士や専門家による「バランスの良い食事」への誘導
  • “みんなが食べている”ことへの安心感

それらは、気づかないうちに**「自分で考えなくていいようにする仕組み」**です。
糖質制限は、そんな“流される構造”に、静かにNOを突きつける行為です。

問い続けるとは、「不便さを抱える勇気」でもある

糖質を抜くことは、時に不便です。

  • 外食のメニューに選択肢が少ない
  • 家族との食卓で違和感を覚える
  • 周囲に説明するのが面倒に感じる

それでも、「自分の身体がどう反応しているか」に真剣でいたい。
「何を選ぶか」を他人任せにしたくない。
そう思えることが、“問い続ける人”の証です。

「私は何を選んで食べているのか?」という問いは、生き方そのもの

  • どんな体でいたいのか?
  • どういう頭の冴えを保ちたいのか?
  • どんな日常を、何で満たしたいのか?

それを問い続けることが、「食べ方」を変え、
その変化が「生き方」を静かに変えていきます。

🧭まとめ:食べるとは、自分に対して誠実であるということ

食事を通して問い続ける人は、
「何が正解か?」ではなく、**「どの選択が自分にとって真実か?」**を見つけていく人です。

糖質を減らすことはゴールではありません。
それは、あなたの身体と人生に対して、「私は本気です」と言う行為なのです。

問い続けて食べていく。
それがこの時代における、静かで強い生き方です。📘7章|実践編:問いながら続けるために

── 完璧じゃなくていい。「今日、また選び直せばいい」

🎯この章で得られること

✅ 糖質制限を“続けるための現実的な工夫”を学べる
✅ 挫折しそうなときの「考え直す視点」が得られる
✅ 完璧主義を捨てて、自分のペースを見つけるヒントになる

はじめに|続けることに正解はない

理屈としてはシンプルな糖質制限。
でも、実生活ではこんな壁にぶつかります:

  • 出先で食べられるものがない
  • 家族と同じ食事ができない
  • 空腹に負けて、コンビニのおにぎりを手にした
  • 旅行やイベントでリズムが崩れた

でも、それで“終わり”ではありません。

糖質制限とは、問い直しながら「自分の軸」を育てていく過程なのです。

7-1|「失敗」しても大丈夫。再起動のための心得

ケース①:おにぎりを食べてしまった

✅ 視点の転換:「食べた=失敗」ではなく、「体が何を求めていたのか」を振り返るチャンス

  • 疲れていた?
  • 忙しくて準備できなかった?
  • 手軽な選択肢が見当たらなかった?

▶ ちょっとした「備え直し」が、次の“選び直し”を助けてくれます。

ケース②:外食・会食・旅行で崩れた

✅ 実践のコツ:

  • 外食は「主食抜き+タンパク質多め」で頼む(例:焼き魚定食、ごはん抜き)
  • 旅行中は「朝食抜き/昼は自由/夜は軽く」などリズムを崩さない工夫
  • 食べすぎた日があっても、翌日リセットで十分

「揺れ幅をコントロールする」ことが、継続の鍵です。

📘7章|7-2 続けるための5つの仕組みと習慣

── 「問い続ける人」が静かに実践している工夫

糖質ゼロの間食セットを常備

  • ナッツ
  • ゆで卵
  • チーズ
  • 無糖ヨーグルト
  • 味噌汁パック

「空腹時の安心材料」があることで、衝動食いを防げます。
コンビニでも買えるものが多く、“選択肢がある”ことが支えになります。

外食ルールは「3パターン」だけ覚える

  1. 肉か魚の定食 → ごはん抜き or 半分
  2. ラーメン屋 → チャーシュー&味玉+サイドメニュー
  3. 居酒屋 → 焼き鳥・枝豆・刺身・チーズ類

「何を食べよう?」より、「何を外そう?」と考える方が楽です。

家庭の主食代替アイデアをストック

  • ごはん → カリフラワーライス
  • パン → 大豆粉やおから蒸しパン
  • パスタ → 糸こんにゃく、高タンパク麺

置き換えの選択肢が多いほど、“我慢”ではなく“選択”に変わります。

タンパク質・脂質の目安感覚をつくる

  • 鶏むね肉100g ≒ タンパク質約20g
  • 卵1個 ≒ タンパク質6g
  • チーズ30g ≒ 脂質6〜8g

計算ではなく、“感覚”を養うことが継続のカギです。

空腹を「敵」にしない

  • お腹が鳴ったとき、「今、脂肪が燃えてる」と思う
  • 白湯・炭酸水・味噌汁で“まぎらわす”
  • それでもつらければ「食べること」を自責しない

空腹は「代謝が切り替わっているサイン」。
失敗ではなく、変化のプロセスです。

📘7章|7-2 続けるための5つの仕組みと習慣

── 「問い続ける人」が静かに実践している工夫

糖質ゼロの間食セットを常備

  • ナッツ
  • ゆで卵
  • チーズ
  • 無糖ヨーグルト
  • 味噌汁パック

「空腹時の安心材料」があることで、衝動食いを防げます。
コンビニでも買えるものが多く、“選択肢がある”ことが支えになります。

外食ルールは「3パターン」だけ覚える

  1. 肉か魚の定食 → ごはん抜き or 半分
  2. ラーメン屋 → チャーシュー&味玉+サイドメニュー
  3. 居酒屋 → 焼き鳥・枝豆・刺身・チーズ類

「何を食べよう?」より、「何を外そう?」と考える方が楽です。

家庭の主食代替アイデアをストック

  • ごはん → カリフラワーライス
  • パン → 大豆粉やおから蒸しパン
  • パスタ → 糸こんにゃく、高タンパク麺

置き換えの選択肢が多いほど、“我慢”ではなく“選択”に変わります。

タンパク質・脂質の目安感覚をつくる

  • 鶏むね肉100g ≒ タンパク質約20g
  • 卵1個 ≒ タンパク質6g
  • チーズ30g ≒ 脂質6〜8g

計算ではなく、“感覚”を養うことが継続のカギです。

空腹を「敵」にしない

  • お腹が鳴ったとき、「今、脂肪が燃えてる」と思う
  • 白湯・炭酸水・味噌汁で“まぎらわす”
  • それでもつらければ「食べること」を自責しない

空腹は「代謝が切り替わっているサイン」。
失敗ではなく、変化のプロセスです。

この節を通じて、糖質制限を無理なく継続するための**“日常的工夫”**を確認しました。
続いて、「7-3|“問い続ける人”として、食べる」へと進めてよろしいでしょうか?

情報源

4o

あなた:

はい

ChatGPT:

お待たせしました。第7章の最終節「7-3|“問い続ける人”として、食べる」の修正版をご提示します。

📘7章|7-3 “問い続ける人として、食べる

── 毎日の食事は、小さな再設計

食べることは、ただの栄養補給ではなくなる

糖質制限を続けていくと、
やがて食事は「何を入れるか」ではなく、**「なぜこれを選ぶか」**の問いに変わっていきます。

  • 自分の体はいま何を必要としているのか?
  • なぜそれを食べたいと思ったのか?
  • 明日もまた、どうありたいのか?

1回1回の食事が、「自分を再設計する時間」になるのです。

問い直すことをやめない人が、続けられる人

糖質制限が続く人には共通点があります。

  • 体の変化を観察しながら調整している
  • 周囲の言葉に流されず、自分の代謝を信じている
  • 食事に対して完璧さより“誠実さ”を求めている

問い続けることが、最強の習慣です。

完璧じゃなくていい。選び直せばいい

  • 間違えても大丈夫
  • 食べすぎた日があってもいい
  • 明日また、“自分の選択”をすればそれでいい

「今日また選び直した」その一点が、あなたを救います。

🧭まとめ:食べ方は、あなたの意思表示でもある

糖質制限とは、結果が出る食事法であると同時に、
あなた自身と、社会との関係性を問い直す体験でもあります。

「私は、今日また自分で選んだ」
その食事が、あなたの味方になります

📘8章|科学の嘘と都合のいい理屈

── あなたの代謝は、誰の論文で動いているのか?

🎯この章で得られること

✅ 科学的に“正しい”とされてきた栄養理論の裏にある構造を理解できる
✅ 研究結果を“使う側”の都合を見抜く視点が持てる
✅ 「問い直す科学」への回帰と、個人の身体感覚の信頼性を再確認できる

🧪コラム12:「科学者の嘘──褐色脂肪で痩せるはずだった」

かつて、私も褐色脂肪に夢を見ていた

代謝と熱産生の研究の中で、「褐色脂肪」は希望の器官として注目されていました。
脂肪なのに熱を生む。つまり“燃える脂肪”。
それが体内にたくさんあれば──痩せる体が作れるはずだと。

🤔でも、大人にはそれほどなかった

  • 思っていたより存在しない
  • 反応もしない
  • 燃えない

「これで人が痩せるわけがない」
と気づいたとき、私の中の“科学”が、“問い”から“言い訳”に変わっていったのです。

🧊それでも科学者たちは、黙っていた

なぜか?

  • 研究費の都合
  • 世間の期待
  • マスコミ受けのよさ

「褐色脂肪を活性化して痩せましょう!」
という見出しの裏には、語られなかった前提と限定条件が山ほどあったのです。

🔥私が信じ直したのは、もっと素朴な代謝だった

  • 糖質を断つこと
  • 脂肪を燃やすこと
  • 空腹を受け入れること

それは、首の裏の脂肪細胞を活性化する話ではありません。

あなたの「生き方」そのものを、代謝として再起動させる──
それが、本当に信じ直すべき科学でした。

🧭まとめ:科学は信じる理由ではなく、問い直す勇気のためにある

科学を信じるとは、論文を無批判に信じることではありません。
それは、「どの問いが隠されていたか」を探す態度です。

食べることも、選ぶことも、疑うことも。
あなた自身の代謝で確かめることが、**いちばん信頼できる“実験”**なのです。

🔚最後に

あなたが太っていたのは、あなたのせいではありません。

それは、
あなたの身体が「飢えに最適化された構造」を持っていたから。
それは、
あなたが生きてきた社会が「糖質を前提とした構造」だったから。

体重の増加は、あなたの怠惰や甘えではありません。
それは、**“構造の中でまじめに生きた結果”**にすぎないのです。

だから、責める必要はありません。
だから、変えることもできます。

糖質を減らすことは、我慢でも罰でもなく──
**「自分の身体に合う生き方を、問い直すこと」**なのです。

巻末①|セルフチェックリスト:「問いながら食べている」かを確認しよう

糖質制限は、完璧を目指すものではありません。
「問い直せるか」「戻れるか」が鍵です。
以下の項目に Yes が3つ以上ついたら、もうあなたは「問いながら食べている」人です。

チェック項目Yes / No
朝食を抜いても不安にならなくなった☐ / ☐
空腹を「脂肪が燃えてる時間だ」と思える☐ / ☐
コンビニで「主食を避ける」選択ができた☐ / ☐
ご飯・パンの代わりに、豆腐・卵などを選べた☐ / ☐
糖質が多そうな食品の「成分表示」を見る習慣がある☐ / ☐
食後の眠気が減ってきた☐ / ☐
「今日は崩れたけど、明日また整えよう」と思えた☐ / ☐

巻末②|よくある質問とゆるやかに乗り越えるヒント

Q1|おにぎりやパンを食べてしまったまた太ってしまう?
A:大丈夫。糖質制限は“毎食がリスタート可能”な食事法です。

Q2|「糖質ゼロ」食品って本当にゼロなの?
A:日本では「100g中0.5g未満」でゼロ表示可。注意深く「炭水化物」欄をチェック。

Q3|糖質を抜いたら、頭がぼーっとするのはなぜ?
A:それは離脱反応。水・塩分・脂質をしっかり補って適応を待ちましょう。

Q4|外食でどうしても選べないときは?
A:割り切る日があってもOK。次の食事で調整できれば、それも戦略です。

Q5|痩せすぎてしまうのが心配です
A:脂質・タンパク質を増やすことで安定します。目指すのは“軽くて力のある体”。

巻末③|資料編(抜粋):成分表示の見方と代謝にとっての意味

  • 炭水化物=糖質+食物繊維
    ⇒ 糖質のみが血糖値に影響します。炭水化物全体ではなく糖質部分に注目。
  • タンパク質の目安量
    ⇒ 体重1kgあたり1.2〜1.6gが目安。たとえば体重60kgなら約70〜100g/日。
  • 脂質の役割
    ⇒ インスリンが出なければ太らず、優秀な「燃料源」となります。
  • 食品表示の落とし穴
    • 「糖質ゼロ」でも少量含まれていることがある
    • 「プロテインバー」でも糖質が高めな場合も
    • 「野菜ジュース」は果糖が多く、意外と高糖質

🔍 補足・資料パート(別立ても可能)

栄養素の基本(炭水化物=糖質+食物繊維、タンパク質、脂質の定義)

📘 あなたの食品表示、読めていますか?(栄養成分表示の読み方)

── 栄養素の正体と、数字の読み方

「カロリーは少なめだから安心」「タンパク質もそこそこあるし」

── そう思って買った商品、本当に“代謝にとって正解”だったでしょうか?

このパートでは、**栄養成分表示を正しく読むための基礎知識**を身につけます。

数字を見ても迷わなくなる、その第一歩です。

### ✅ 炭水化物=糖質+食物繊維

* 表示例:「炭水化物 20g(糖質 18g、食物繊維 2g)」

* **糖質が血糖値を上げ、脂肪を“ためる”原因**になる

* 食物繊維は血糖を上げず、むしろ“脂肪の蓄積を抑える”働きあり

> 糖質だけを見よう。「炭水化物が多い=NG」ではありません

### ✅ タンパク質って何g必要? 食材と照らして考える

* 一般的な目安:**体重1kgあたり1.2〜1.6g**

* 例:体重60kgの人→70〜100g/日

| 食材        | 量    | タンパク質量の目安 |

| ——— | —- | ——— |

| 鶏むね肉(皮なし) | 100g | 約22g      |

| 卵         | 1個   | 約6g       |

| 木綿豆腐      | 1/2丁 | 約10g      |

| サバ切り身     | 1切れ  | 約20g      |

> 何gと書いてあっても、「どの食材でそれを摂るか」が具体的に想像できないと意味がない

### ✅ 脂質=太る、ではなく、脂質=“燃料”

* 脂質は1gあたり9kcal(糖質やタンパク質は4kcal)

* オリーブオイル、バター、アボカド、ナッツなどは代謝にとって有用な脂質

> 脂質だけ摂っても、インスリンが出なければ太りません

### ✅ よくある食品表示の“落とし穴”

* 「糖質ゼロ」:100g中0.5g未満でも「ゼロ」と表示可(実際は含まれている)

* 「プロテインバー」:タンパク質10gでも糖質も10g以上あることが多い

* 「野菜ジュース」:ヘルシーに見えて、実は果糖たっぷり

> 表示を見る習慣は、「身体に入るものを選ぶ力」になります

### 🧭 まとめ:数字を読む力が、食べ方を変える

数字はあなたを縛るためにあるのではなく、

\*\*選ぶ自由を得るための“読解ツール”\*\*です。

「これは何が多くて、何が少ないのか」

「代謝にとってどう働くのか」

読み解けるようになると、あなたはもう、

パッケージのキャッチコピーに惑わされなくなります。

カロリーの扱いと勘違い

🔸コラム|カロリーって何?──数字の奥にある“使われ方”を考える

「摂取カロリーが消費カロリーを上回ると太る」
──このフレーズ、誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。

けれど本当にそれだけでしょうか?

🔥 カロリーとは「熱量」、つまり“エネルギーの可能性”

カロリーとは、「ある物質を燃やしたときにどれだけの熱(エネルギー)が出るか」を表した単位です。
水1gを1℃温めるのに必要な熱量が1kcal。
つまり、カロリーとは**エネルギーの“潜在力”**を示す指標に過ぎません。

⚙️ では、食べたカロリーはどう使われる?

カロリー(エネルギー)は以下のように分配されます:

  1. 体温維持・内臓の活動(基礎代謝)
  2. 筋肉運動・日常生活(活動代謝)
  3. 食事誘発性熱産生(食べて消化するための熱)
  4. 一部は熱として散逸(アルコールなど)
  5. 余った分が“脂肪”として蓄積される

ポイントは、「摂取=即体脂肪」ではないということ。
“どの栄養素から得たエネルギーか”によって、使われ方がまったく違うのです。

🥩 栄養素ごとの「使われ方の違い」

栄養素カロリー/g主な使われ方脂肪になりやすさ
糖質4kcal即時のエネルギー/余剰は脂肪化高い(インスリン作用)
脂質9kcal長期のエネルギー/余剰は脂肪に直行非常に高い(そのまま蓄積される)
タンパク質4kcal主に体づくり(筋肉・酵素)/熱としても消費低い(変換コストが高い)
アルコール7kcal熱として散逸/一部が肝臓で中性脂肪に中〜低(食事次第)

※アルコールは「直接脂肪になりにくい」が、「他の栄養素の代謝を邪魔して脂肪を増やす」特性があります。

📏 管理栄養士の「前提」とのギャップ

多くの管理栄養士は「食品のエネルギー=吸収されるエネルギー」としてカロリー計算を行います。
それは制度上・業務上の必要であり、「再現性のある指導」には有効です。

しかし現実には:

  • すべて吸収されるわけではない(例:食物繊維、吸収率の低い脂肪酸など)
  • 栄養素ごとに熱産生効率が違う
  • 腸内細菌や個人の代謝状態で変わる

つまり、「200kcalの食事」を摂っても、人によって実際に“使えるカロリー”は異なるのです。

🎯 本当に大切なのは、「数字」より「使われ方」

本書では、単に「カロリーを減らす」ことではなく、
“何を食べ、どう使われるか”を見直すことを重視しています。

カロリーは「燃える可能性」を示すにすぎません。
燃やす方法、燃やす順番、燃やす体──それが本質なのです。

「置き換え100選」(詳細版)
🍚 カテゴリ①:主食(ごはん・パン・麺類)

🍫 カテゴリ②:おやつ・間食

カテゴリ③:飲み物・嗜好品

🧂 カテゴリ④:調味料・ソース類

🍽 カテゴリ⑤:外食メニューの置き換え方

🏠 カテゴリ⑥:家庭料理の応用

🍱 カテゴリ⑦:お弁当・軽食

🛍 カテゴリ⑧:市販品・コンビニで買えるもの

🌅 カテゴリ⑨:朝食アイデア集
🧸 カテゴリ⑩:「どうしても食べたいとき」の妥協案


NG食品 置き換え候補💬 コメント・補足
白ごはんカリフラワーライス食感が近く、炒めても使える。冷凍品もあり便利。糖質は約1/20。
白ごはん木綿豆腐+刻み海苔+ごま油“豆腐丼”風にアレンジ。味付け次第で満足度高。冷やしてもOK。
食パンおから蒸しパン(レンジ)卵・おからパウダー・ベーキングパウダーで簡単調理。糖質極小。
食パンローソンのブランパン(市販)市販品の中では糖質控えめ。冷凍保存も可。
食パン大豆粉入り手作りパン少し手間だが高たんぱく・高満足。チーズやハーブを入れても◎。
うどん・そうめん糸こんにゃく(しらたき)温麺・冷麺どちらでも代用可。よく洗うと臭みが消える。
スパゲティ豆腐干絲(とうふかんす)中華食材で細切り豆腐。炒めパスタ風に最適。糖質ほぼゼロ。
ラーメンこんにゃく麺 or 紀文の糖質0g麺コンビニでも買える。ラーメンスープやカレーで満足度UP。
カレーライスカレー+カリフラワーライスごはんの代用として成立。ルーも糖質オフを意識すれば◎。
丼もの(牛丼など)肉+豆腐 or 千切りキャベツいわゆる「牛皿定食」風。たれを工夫すれば飽きにくい。
チョコレートハイカカオ(85%以上)チョコ1〜2片少量なら血糖急上昇を避けやすい。苦味で満足感も。
ケーキ・焼き菓子おから蒸しケーキ(レンジ)卵+おから+ラカントで甘さ控えめ。抹茶・ココア風味も◎。
ポテトチップス焼きチーズ、チーズせんべい油脂と塩気が満足度を高める。オーブンで手作りも可。
クッキーナッツ+ラカントで焼いた低糖クッキーアーモンド粉・ココナッツ粉を使って糖質カット。
和菓子(まんじゅう等)くるみ+ラカント+きな粉の団子風お餅の代わりに白滝やおからでボリューム感を。
アイス乳脂肪分高めの純生クリーム+冷凍ベリー甘味料で軽く味付けすれば“冷たい満足感”は得られる。
せんべい海苔チップス/ナッツミックスパリパリ感が欲しい時に。ナッツは塩分控えめのものを。
スナック菓子ゆで卵+岩塩/チーズ入りちくわ手軽で満足感あり。冷蔵庫常備が◎。
あめ・グミシュガーレスガム or ハーブティー“口さみしさ”対策に。噛むこと自体で満足感アップ。
ミルクティー・甘い飲料紅茶+無調整豆乳+ラカント自家製ソイラテ風に。シナモンやジンジャーで風味追加も◎。
ジュース類(オレンジ・アップル等)無糖炭酸水+レモン or ライム爽快感あり。“喉ごし”欲求に対応。冷やして飲むと満足度アップ。
甘い缶コーヒーブラックコーヒー+ラカント or ステビア微糖ではなく「甘くないに慣れる」練習を。
ミルクティー無調整豆乳+紅茶+甘味料(ソイラテ風)カフェ風にシナモンを加えると満足感◎。
コーラ/サイダーゼロカロリー炭酸飲料(できればカフェインレス)「ゼロ」でも完全ゼロではないことに注意。多用は控えめに。
スポーツドリンク塩+レモン+炭酸水の自作ドリンク夏場や運動後の電解質補給にも対応。
抹茶ラテ・カフェモカ牛乳→豆乳/無糖アーモンドミルク+抹茶粉末甘さ控えめでも「濃厚さ」で満足感あり。
アルコール(ビール)焼酎・ウイスキーの炭酸割り(糖質ゼロ系)ハイボールやレモンサワー(甘味料なし)がおすすめ。
ワイン(甘口)辛口白 or 赤を少量だけ/低糖ワイン飲むなら「乾杯の一杯だけ」と割り切るのも手。
甘酒豆乳+ラカント+しょうがで温かドリンク「体が温まる系」が欲しいときの代替に。
シロップ入りカフェドリンク無糖カフェラテ+バニラエッセンス数滴気分転換には香りを上手に使うと◎。
みりん・砂糖ラカントS、エリスリトール、ステビア和食の煮物もこれで安心。甘さは少量でOK。
ケチャップトマトペースト+酢+塩・スパイスで自作市販のケチャップは糖質多め。手作りが安全。
ソース(中濃・とんかつ)ウスターソース少量 or 醤油+スパイス粘度のあるソースほど糖質が高い傾向。
焼肉のたれ味噌+ごま油+にんにくで自作だれ市販は糖質高。“漬け込み”より“後がけ”で調整を。
ドレッシング(和風・ゴマ)オリーブオイル+酢+塩胡椒+レモン汁ごまや酢などの風味で満足感を引き出す。
マヨネーズ(加糖タイプ)キューピーの糖質ゼロタイプ通常のマヨはOKだが、加糖タイプには注意。
市販カレールウ糖質オフルウ/スパイス+ココナッツミルクで自作カレー粉と生クリームの組み合わせも◎。
ポン酢(市販)醤油+酢+柑橘果汁で手作り市販ポン酢は砂糖入りが多い。自作なら安心。
白味噌・合わせ味噌(甘口)赤味噌・無添加味噌甘味を抑えたものを選び、だしで工夫。
焼きそば・中華の素醤油+ごま油+豆板醤 or にんにく化学調味料を使わず風味重視で代用可能。
牛丼牛皿単品+サラダ or 温玉「ごはん抜き」を注文時に伝えればOK。
カレーライスカレーのみ(ルー+具)+豆腐 or カリフラワーライス持参“ご飯抜き”カレーも店によって対応可。持ち込み許可要確認。
ラーメンチャーシュー麺 → 麺少なめ or 抜き+煮卵トッピング「麺抜き」は通称“ラーメン具だけ”。可能な店多し。
パスタシーフードサラダ or 魚介グリル+オリーブオイルパスタ気分は味で代用。量より“香り”で満足を。
ハンバーガーバンズ抜きでパティ+野菜(プロテインスタイル)モス・フレッシュネス等で対応メニューあり。
定食(ご飯あり)ご飯抜き/小鉢つけてバランスをおひたしや冷奴などサブを充実させて満足度UP。
ピザチーズ多めのグリル野菜 or チキンオーブン焼き“ピザ味”はチーズ・トマト・オレガノで再現可。
丼もの(天丼・カツ丼)単品の天ぷら or とんかつ+キャベツ山盛り油+たんぱく質で空腹感も満たされる。
中華定食野菜炒め単品+たまごスープとろみ系ソースには注意(片栗粉=糖質)。
ファミレスグリルチキン、ハンバーグ、サラダ、温野菜サイドメニューをカスタマイズして一皿に。
肉じゃが糸こんにゃく・大根・厚揚げで「糖質ゼロ肉じゃが」じゃがいも→大根・厚揚げで代用。だしを効かせて満足感UP。
カレーライスルーの代わりにスパイス+ココナッツミルク/豆腐ライスとろみは入れず“スープカレー”風にすると違和感なし。
シチュー生クリーム+コンソメ+鶏肉+ブロッコリー小麦粉不使用でも十分濃厚。とろみ不要でOK。
お好み焼きキャベツ+卵+チーズの“とろとろ焼き”小麦粉の代わりに卵でまとめ、焼きチーズで香ばしさを追加。
焼きそば糸こんにゃく麺+豚肉+野菜炒め焼きつけることで臭みが減り、タレで満足感UP。
すき焼き白滝・豆腐を主役にして、たれは糖質オフで調整割り下はラカントで。肉の脂で旨味は十分。
餃子肉ダネをレタスやキャベツで包んだ“包まない餃子”焼いても蒸してもOK。ポン酢でさっぱり。
オムライス卵+チキン+チーズ+ブロッコリー or きのこ炒めごはんの代わりに食感のある野菜で満足度キープ。
チャーハンカリフラワーライス or おから炒り“卵とごま油”の風味が鍵。刻んだナッツで食感UPも。
グラタン茹でたキャベツや豆腐を使い、チーズ+生クリームで焼くホワイトソース不要でも「こってり感」は十分出せます。
おにぎりゆで卵+チーズ+ナッツ or 鶏ハムスライス主食を抜き、“つまめるたんぱく質”中心に構成。
サンドイッチロカボブレッド使用 or レタス包みサンド卵サラダやチキンを具に。パンはブラン系で対応。
菓子パン+カップ麺サラダチキン+ゆで卵+味噌汁パックコンビニで揃うセット。汁物で満腹感もプラス。
焼きそばパン糸こんにゃく炒め+ブランロールで「擬似焼きそばパン」どうしても食べたいときの“気休め”代用に。
弁当(白ごはん+唐揚げ)唐揚げ+キャベツ+ブロッコリーの主菜弁当ごはんを除いた構成で“昼だけ糖質オフ”が実現。
コンビニメニューサラダチキン、プロセスチーズ、枝豆手間なくたんぱく質確保。手軽な袋入り品も多い。
おにぎり弁当卵焼き(甘くない)+きんぴら+焼き魚+小分け豆腐日本型“幕の内”でも主食抜きで十分成立。
ハンバーガーバンズ抜き(プロテインスタイル)+チーズ・サラダモス・フレッシュネスで対応可能。持ち帰りにも◎。
コンビニパスタサラダ+チキン+スープ+ゆで卵の“即席定食”組み合わせで“主食抜き構成”を作る工夫を。
ドーナツ・甘い菓子パンロカボクッキー/おからケーキ持参朝に作って持ち歩けば“甘い満足感”もOK。
菓子パンローソン ブランパン/ブランロール糖質10g以下で種類も豊富。冷凍保存もOK。
甘いヨーグルト無糖ヨーグルト+ラカント or 冷凍ベリープレーンタイプで糖質をコントロール。
ポテチ・スナックローストアーモンド/ミックスナッツ(無塩)塩分・糖質控えめの商品を選ぶのがポイント。
清涼飲料水伊右衛門プラス(機能性無糖茶)/炭酸水レモン飲み応えが欲しい人に。甘くない選択肢を習慣に。
おにぎりサラダチキン+チーズ or ゆで卵セット「糖質抜きランチ」はこの組み合わせで決まり。
カップ麺糖質ゼロ麺(紀文など)+スープアレンジ味噌汁ベースや鶏ガラスープで自作が簡単。
和菓子糖質オフ大福(ローソン、ナチュラルローソンなど)数量限定なので見つけたら即購入もアリ。
カフェドリンクコンビニの無糖ラテ+シナモン/豆乳持参で割る香りで“満足感”を引き出す工夫も。
スイーツシャトレーゼ 糖質カットスイーツシリーズロールケーキ・プリン・チョコレートなど充実。
カレー/ハンバーグレトルト「糖質オフ」商品(セブン・無印など)レトルトも“選べばOK”。特にセブンイレブンは高品質。
トースト+ジャムおから蒸しパン+バター/クリームチーズ甘味はラカントで。満足感の高い組み合わせ。
ごはん+味噌汁+焼き魚味噌汁+卵焼き+冷や奴 or 鶏ハムご飯を抜いても“和定食感”は保てます。
シリアル+牛乳アーモンド+無糖ヨーグルト+ベリー噛みごたえで満足感を演出。食物繊維も◎。
菓子パン+カフェオレチーズ+ナッツ+無糖ラテ or 豆乳ラテ「甘くない朝」に慣れるトレーニングに。
果物(バナナ等)+ヨーグルトゆで卵+オリーブ+ブロッコリー野菜を“つまむ朝ごはん”に変換。冷凍保存OK。
朝マック・モーニングセットバンズ抜き注文+ブラックコーヒーモス、フレッシュネスなら“プロテインスタイル”あり。
カフェのサンドイッチサラダ+ゆで卵 or チキン+豆腐で簡易ブランチサラダチキンや冷奴を活用すれば自宅でも手軽。
おにぎり冷やし茶碗蒸し/卵スープ「温かい/冷たい」で変化をつけると飽きにくい。
パンケーキおから粉+卵+甘味料で“低糖パンケーキ”ベリー・バターで味に深みを。焼いて冷凍可。
何も食べないと不安白湯+塩ひとつまみ/味噌汁だけでもOK“食べない勇気”を支える選択肢。水分と塩分がポイント。
ケーキロカボスイーツ(1/2サイズ) or 自作低糖ケーキ「最初のひとくちで満足」に意識を集中させる。
ごはん大盛り小盛+納豆+豆腐で“副菜盛り”に転換主食を半分、副菜で補うことで満足感を演出。
パスタ蒟蒻麺+クリームチーズ+オイルで“ごまかし系”パスタ風ソースを濃厚にすると、麺の違和感が気にならない。
スイーツ食べ放題最初の一口×3種類だけ選ぶルール“全部食べる”より“選び抜く”経験が重要。
お祭りのチョコバナナ・たこ焼き家で糖質カットのチーズ焼き+無糖チョコをかける再現して“気が済む”作戦。思い出に寄り添う。
甘い缶コーヒーブラック+ラカント/シナモンパウダーで風味追加習慣の置き換えは「儀式化」でスムーズに。
フライドポテト揚げ焼きブロッコリー or かぼちゃスライス(少量)油と塩気で“似た満足”を得られる。根菜はほどほどに。
ラーメンライススープだけ/具多めラーメン+豆腐で“かさ増し”「満腹」より「満足」への転換を練習。
ビール+おつまみハイボール+焼きチーズ・枝豆飲むなら“糖質ゼロでつまみを選ぶ”と割り切る。
ドカ食いの衝動「15分だけ散歩してから」にルール変更衝動の多くは“時間でやりすごせる”ことが多い。

📘 巻末FAQ|よくある質問と“ゆるやかに乗り越えるヒント”

Q1|おにぎりやパンを食べてしまった…また太ってしまう?

A:大丈夫。糖質制限は“毎食がリスタート可能”な食事法です。

完璧にやり続けることが目的ではありません。
1食の“ずれ”に気づいて、次で修正できるなら、それが最良の選択です。

Q2|「糖質ゼロ」食品って本当にゼロなの?

A:日本では「100g中0.5g未満」で“ゼロ表示”できます。

つまり、少量は入っていても“ゼロっぽい”だけのものも多いです。
成分表の「炭水化物」欄をチェックしましょう。

Q3|糖質を抜いたら、頭がぼーっとするのはなぜ?

A:最初の数日は“糖依存”の離脱反応です。

脳はケトン体でも働けるので、数日で適応します。
水分・塩分・脂質が足りないと不調が出やすいので、しっかり補給を。

Q4|外食でどうしても選べないときは?

A:割り切る日があってもいい。翌日からリセットすればOK。

選べない場面では「できるだけタンパク質多め」で妥協を。
次の食事で調整できれば、それも“戦略的な継続”です。

Q5|痩せすぎてしまうのが心配です

A:糖質制限は“絞る”より“整える”食事法です。

痩せすぎる場合は脂質やタンパク質を増やすことで安定します。
目指すのは“軽くて力のある体”です。

Q6|甘いものがどうしてもやめられません…

A:ドーパミンの“報酬回路”がまだ刺激を求めているだけかも。

甘いものを「自分のごほうび」にしない習慣が必要です。
糖質ゼロのデザートや、少量のナッツ・チーズなどで“心を満たす”練習をしてみましょう。

行動チェックリスト|“問いながら続ける”ための小さな習慣

読者自身が日常で活用できるよう、Yes/Noで答えられるシンプルな項目で構成しています。

チェック項目Yes/No
朝食を抜いても不安にならなくなった☐ / ☐
空腹を「脂肪が燃えてる時間だ」と思える☐ / ☐
コンビニで「主食を避ける」選択ができた☐ / ☐
ご飯・パンの代わりに、豆腐・卵などを選べた☐ / ☐
糖質が多そうな食品の「成分表示」を見る習慣がある☐ / ☐
食後の眠気が減ってきた☐ / ☐
「今日は崩れたけど、明日また整えよう」と思えた☐ / ☐

▶ 3つ以上チェックがつけば、「問いながら続けている」サインです。
▶ 5つ以上ついたら、もうあなたは“自分で選べる食べ手”になりつつあります。

巻末付録:「年齢別・目的別 糖質との付き合い方」

あなたにとって最適な「糖質のかたち」──年齢と目的で変わる糖質戦略

🔹【1】はじめに

糖質制限には、大きな力があります。  

でも、その力が「正しく働くかどうか」は、**あなたの年齢・体質・目的**によって異なります。  

このページでは、年齢別・目的別に「糖質との最適な付き合い方」を整理しました。  

糖質は敵ではありません。大切なのは、「今のあなたにとってのちょうどよさ」を見つけることです。

🔹【2】年齢別ガイド(表形式)

年代・対象糖質との基本的な向き合い方特に意識したいポイント
10代(成長期)制限は原則NG。加工糖質を控え、自然な糖質(ごはん・芋・果物)を中心に背を伸ばす、脳を育てる、ホルモンを守るための“燃料”として糖質が必要
20代前半ゆるやかな調整からスタート。過剰な制限や短期集中は避ける筋肉を落とさない食事設計を意識(高タンパク+適量糖質)
20代後半〜40代本書の方法を適用しやすい。体調・体型・集中力の改善に効果的体質に合わせてケトン適応や間欠的断食も検討可能
50代以上緩やかな糖質制限で血糖・内臓脂肪の安定を目指す筋力維持・骨密度維持のためにタンパク質を特に重視
高齢者(70代〜)糖質制限は控えめに。栄養失調に注意して“食べる力”を維持フレイル(虚弱)予防には糖質+脂質+タンパク質のバランスを丁寧に

🔹【3】目的別ガイド(補足的に)

目的糖質戦略の基本
痩せたい(脂肪を減らしたい)糖質制限+脂質代謝への切り替えが有効
集中力を上げたいケトン体モードを活かした糖質カット+朝食見直し
筋肉をつけたい適度な糖質を“トレ後”に活用する戦略が必要
肌やメンタルを整えたい糖質の“質”にこだわり、血糖値スパイクを防ぐこと
病気予防・血糖安定日常の糖質過多を防ぎ、緩やかな制限で継続性を重視

🔹【4】最後に(まとめ)

糖質との付き合いは、「一律の正解」があるものではありません。

– 子どもには「育つための糖質」

– 働き盛りには「集中と代謝のための糖質調整」

– シニア世代には「食べる力を守るための緩やかな糖質」

あなた自身や、あなたの家族がそれぞれどんな時期にあるのかを見つめながら、  

「いま必要な糖質のかたち」を探してみてください。参考文献と統計注釈

未使用コラム

📘 コラム3:血糖値は正常です、と言われて安心していませんか?

📘 コラム4:脂肪肝は太った人の病気ではない

📘 コラム7:「ダイエットとは、体脂肪を減らすことである」

📘 コラム11:本当に糖質が必要な場面なんてあるの?

📘 コラム12:「科学者の嘘──褐色脂肪で痩せるはずだった」📘 コラム3:血糖値は正常です、と言われて安心していませんか?

> 健康診断で「異常なし」と言われても、それは本当に大丈夫?

たとえば、「健康診断では問題ない」と言われて安心していたのに、実際は日常的に疲れやすく、午後になると強い眠気に悩まされている。そんな経験はありませんか?

空腹時血糖値が正常でも、実は「食後高血糖(血糖スパイク)」が頻繁に起きている人は多い。

つまり、「インスリンを出しすぎてなんとか保っている」だけかもしれない。

> 見た目の“正常”の裏に、静かな代謝破綻が始まっていることも。

糖質制限をすることで、この「隠れインスリン過剰」を防ぐことができる。

📘 コラム4:脂肪肝は太った人の病気ではない

> 「痩せてるのに脂肪肝」と言われたこと、ありませんか?

これは驚くほど多いケース。実は、脂肪肝の原因の多くは「糖質の摂りすぎ」にある。特に果糖(ジュース、加工食品の甘味料)が肝臓に直接脂肪を蓄えさせる。

> 太っていなくても、肝臓は“糖の毒”に晒されている。

たとえば、30〜50代の働き盛りの男性に多く見られる「痩せ型脂肪肝」は、見た目はスリムでも毎日の甘い缶コーヒーや夜のビール・ラーメンなどで、肝臓に静かに脂肪がたまっていくケースです。特に「健診では体重も正常、でも肝機能が微妙に悪化している」場合は要注意です。

糖質制限は「脂肪を減らす」のではなく、「脂肪を作らせない」ための防衛策にもなる。

📘 コラム7:「ダイエットとは、体脂肪を減らすことである」

──数字ではなく、燃料庫を減らすという本質

🧍‍♀️ 体重が減った=痩せた、と思っていませんか?

数日間で2kg減った!と喜んでいる人がいます。

でもそれは、体脂肪が減ったわけではなく、水分と筋肉が減っただけかもしれません。

📏 ダイエットの定義は、こうです。

「ダイエット(痩身)とは、体脂肪を減らすことである」

体脂肪とは、カロリーの貯蔵庫です。

これを減らすには、脂肪を“燃やして出す”代謝状態にならなければならない。

そのためには:

糖質を断ってインスリンを下げ

脂肪を燃やすモードに入り

呼吸として体外に出す

この流れを通らない限り、“痩せた気がするだけ”の減量にすぎません。

💬 なぜこの定義が重要なのか?

「体重が減った=健康」ではない

「筋肉が減った減量」はリバウンドの種

体脂肪だけを落とすには、糖質制限×代謝の理解が不可欠

見た目が変わらない、疲れやすい、リバウンドする。

それは、あなたが「脂肪を減らすダイエット」ではなく、

「ただ軽くなるだけの減量」をしていた証拠かもしれません。

📘 コラム11:本当に糖質が必要な場面なんてあるの?

──子ども、高齢者、受験生という“民間的伝承”を問い直す

「糖質を抜くのは怖い」と言われるとき、よく持ち出されるのが次の3つのパターンです:

### 🧒 子どもには糖が必要?

確かに子どもの脳は発達中で、エネルギー需要が高い。けれど、それは“お菓子や白ごはんをどんどん食べさせるべき”という意味ではありません。

本当に必要なのは、血糖が安定する食事と、脂質を含む栄養バランス。実際、てんかんの治療としてケトジェニック食(高脂肪・低糖質食)が用いられる例もあり、成長期の脳でもケトン体は安全に使えることがわかっています。

> 「糖が必要だから糖質が必要」というのは、誤解です。

### 👵 高齢者には糖質を抜くと危ない?

これもよく聞く話ですが、実際は高齢者こそ血糖値の乱高下によるリスク(脱力、転倒、眠気、倦怠感)を受けやすいのです。

ケトン体をエネルギー源とする状態は、脳の炎症や酸化ストレスを減らすという研究もあり、

初期の認知症に対する介入にも期待されています。

> 「低血糖になるから糖質を食べさせよう」ではなく、

> 「血糖が乱れないように代謝全体を整えよう」が正解。

### 🧠 受験生に甘いものを与える?

「脳のエネルギー源はブドウ糖だから、チョコレートを食べさせよう」。

この発想は、短時間のパフォーマンスアップには一理ありますが、

血糖の急上昇と反動の低下(=眠気やイライラ)を招くという大きなリスクがあります。

集中力を維持したいときこそ、ケトン体がじわじわ効いてくる状態が理にかなっています。

> 「甘いものを食べて集中!」は一時的。

> 「燃料を安定供給して集中」するほうが、受験に効きます。

### 🧭 まとめ

糖質を“食べなければならない”状況は、実はほとんどありません。

子ども、高齢者、受験生──よく挙げられる例こそ、

「糖質依存にさせない設計」が必要なグループです。

健康神話が染みついた分野こそ、代謝の事実から問い直しましょう。

コラム12:「科学者の嘘──褐色脂肪で痩せるはずだった」

🧪 昔、私も褐色脂肪に夢を見ていた

──癌研究から派生して、代謝と熱産生を追っていたあの頃。

褐色脂肪は熱を生む脂肪で、
体温を上げ、脂肪を燃やす“希望の器官”だと考えられていた。

🤔 でも、大人にはそれほどなかった

──思っていたより存在しない。反応もしない。燃えない。

「これで人が痩せるわけがない」
そう感じたとき、研究が“問い”から“都合のいい言葉探し”に変わっていたことに気づいた。

🧊 それでも科学者たちは、黙っていた

──研究費、発表、注目。希望は武器だ。

「冷え性のあなたに朗報!褐色脂肪を活性化すれば…」
という見出しの裏には、科学者が語らなかった“限定条件と前提”が山ほどある。

🔥 私が信じ直したのは、もっと素朴な代謝だった

──糖質を断つこと。脂肪を燃やすこと。空腹を受け止めること。

本当に燃えるべきなのは、首の裏の微小な器官じゃない。
あなたの“生き方”そのものが、代謝として再起動されることだ。

編集改善指針


各章の冒頭「この章で得られること」を一言入れる

第2章と第X章の間ソフトな接続文を入れて違和感解消

第5章の末尾「読後感を包む結語」を追加する

巻末セルフ診断・ナビ・索引を明記&整備

本全体章と章の橋渡しを“静かに丁寧に”行う

コラムコラムの一部が本文内容と重複・拡張関係にあるため、「章内の短コラム」として再構成するか、「補章」としてまとめて扱う」かの判断。特に「脳は糖がないと働かない」と「脂肪の最終的な消失先」のような重要トピックは、本文内に吸収してもよいほどの質と分量があります。

現時点では、「第6章 食文化と問い直し」と「第7章 実践編」で読者が“文化的背景と継続戦略”の両方を俯瞰できるよう設計されており、この2章がまとめとしての機能も果たす形になっています。

🔍 補足・資料パート

(未作成)栄養素の基本(炭水化物=糖質+食物繊維、タンパク質、脂質の定義)

(未作成)カロリーの扱いと勘違い

(未作成)参考文献と統計注釈

糖質制限をはじめて起きる変化最初の1ヶ月の経緯と3ヶ月後の姿

筋トレは必要か?